最新記事

睡眠

「アイマスクをつけて寝ると、こんな効果が!」......記憶力や注意力が高まる、との研究結果

2023年3月10日(金)18時40分
松岡由希子

睡眠時のアイマスクの装着は、認知機能の向上につながる...... Anciens Huang-shutterstock

<英カーディフ大学らの研究チームは、遮光性のあるアイマスクを就寝中に装着すると記憶力や注意力にどのような影響を及ぼすのかを調べた......>

睡眠は注意力や記憶の定着に不可欠だが、環境光は睡眠構造やタイミングに影響を及ぼすおそれがある。このほど、睡眠時にアイマスクを装着して遮光すると、翌朝の記憶力や注意力が向上する可能性があることがわかった。

アイマスクを装着すると記憶力や注意力にどんな影響があるのか

英カーディフ大学らの研究チームは、18~35歳の成人を対象に2種類の実験を行い、遮光性のあるアイマスクを就寝中に装着すると記憶力や注意力にどのような影響を及ぼすのかを調べた。これらの実験結果をまとめた研究論文は2022年12月15日付の学術雑誌「スリープ」で掲載されている。

最初の実験では、89人を対象に、1週間にわたって就寝時にアイマスクを装着させた後、さらに1週間、遮光しない環境で就寝する対照実験を実施した。それぞれの実験の6日目と7日目の午前8~10時に「対連合学習(PAL)」、「精神運動覚醒検査(PVT)」、「運動スキル学習(MSL)」という3種類の認知タスクを行った結果、アイマスクを装着して就寝したほうが記憶力に優れ、反応も速かった。

「睡眠時のアイマスクの装着は、認知機能の向上につながる」

33人を対象とした次の実験では、就寝時にアイマスクとウェアラブル脳波計を装着させるとともに、照度計を与えて枕元に置かせ、毎朝起きたらすぐに照度を報告するよう指示した。

実験の1日目の就寝時に通常のアイマスクを装着し、2日目には目の部分に穴を開けたアイマスクを装着して実験環境に慣れさせた後、4日目と5日目の午前8~10時に「対連合学習」と「精神運動覚醒検査」を行った。

その結果、最初の実験と同様に、通常のアイマスクをしたほうが記憶力が高かった。また、ウェアラブル脳波計によって記録された3日目と4日目の睡眠を分析したところ、アイマスクの装着と徐波睡眠(深い睡眠)の増加に関連性が認められた。

これらの実験結果をふまえて、研究論文では「睡眠時のアイマスクの装着は、認知機能の向上につながり、日常生活にも相応の影響をもたらしうる効果的かつ経済的で、身体にも負担を与えない行動といえる」と結論づけている。


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

訂正-東京株式市場・大引け=続伸、米株高を好感 決

ビジネス

午後3時のドルは156円後半へじり高、下値に買い

ワールド

フィリピン、中国の放水で船が損傷と非難 スカボロー

ビジネス

JR西、発行済み株式の4.1%・500億円を上限に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「瞬時に痛みが走った...」ヨガ中に猛毒ヘビに襲われ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中