最新記事

事故

タイタニック号ツアー潜水艇、免責同意書1ページ目に死亡の可能性3カ所も 遺族が運営会社提訴の可能性

2023年6月23日(金)15時35分
潜水艇「タイタン」

沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に行方不明になった潜水艇「タイタン」の乗客が署名していたと考えられる免責同意書は、潜水艇を保有するツアー運営会社オーシャンゲート・エクスペディションズを乗客の遺族が提訴した場合に、運営会社を訴訟から守ることにはならない可能性がある、と法律専門家は話している。オーシャンゲート提供写真(2023年 ロイター)

沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に行方不明になった潜水艇「タイタン」の乗客が署名していたと考えられる免責同意書は、潜水艇を保有するツアー運営会社オーシャンゲート・エクスペディションズを乗客の遺族が提訴した場合に、運営会社を訴訟から守ることにはならない可能性がある、と法律専門家は話している。

米沿岸警備隊は22日、発見された潜水艇の破片から、潜水艇が圧壊したとの見方を示した。

2022年7月に潜水艇に乗り込んだ米CBSテレビの記者は、署名した免責同意書には死亡する可能性について、最初のページだけでも3カ所に書かれていたと話した。

ロイターはオーシャンゲートの免責同意書の内容を独自には確認することができなかった。オーシャンゲートは22日時点でコメント要請に返答していない。

免責同意書は常に有効とは限らず、十分に開示されていない重大な過失や危険を示す証拠がある場合には、判事が免責条項の適用を拒否することも珍しくはない。

テキサス州を拠点とする弁護士で海事法を専門とするマシュー・D・シャッファー氏は「乗客には知らされていない潜水艇の設計や建造に関する情報がある場合や、潜水艇が今回の潜水には適していないという情報を認識しつつ運航されていた場合には、免責同意書の有効性は間違いなく失われる」と述べた。

事故原因の究明が急務

免責同意書にサインする人

2022年にツアーに参加した記者が免責同意書にサインしているようす CBS Sunday Morning / YouTube

オーシャンゲートは、同社に重大な過失はなく、免責同意書には深海へ潜る危険について十分に記述してあるため、免責条項は有効だと主張するとみられる。

過失があった場合にその度合いと、過失が免責条項の有効性に及ぼす影響は、事故原因によって決まることになりそうだが、事故原因は依然として調査中。

カリフォルニア州の弁護士、ジョセフ・ロウ氏は「免責条項にもかかわらず遺族が請求できることには非常に多くのさまざまな事例があるものの、事故原因が究明されるまでは、免責条項が適用されるかどうかは判断できない」と語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア軍の上陸艇を撃破...夜間攻撃の一部始終

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 6

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中