コラム

「日本を選んで失敗」...東京五輪関係者に甘く、留学生に厳しい日本政府のダブスタ

2021年04月28日(水)19時00分
西村カリン

夢がなくなってしまい、「日本を選んで間違った」「絶望」「アスリートのほうが大事なのか。おかしい」「情報を伝えてください」など、怒りと絶望感を表現する外国語のメッセージがSNSにはあふれている。

ただ、官邸や外務省、法務省に彼らの声は届かない。筆者は記者として何度も官房長官、外相や法相に質問したが、いつも全く同じ回答しか得られない。「入国に緊急性および公益性がある場合には、十分な防疫措置を講じることを前提に個別に対応を判断していく方針であります。東京オリンピック・パラリンピックの関係者や外国人留学生も、そうしたなかで検討していきたいと思っております」

実際には、オリンピック・パラリンピックのアスリートは全員ほぼ自動的に入国許可される。留学生は、透明性のないプロセスで日本政府から「緊急性および公益性」が高いと判断された限られた人だけが入国できるのだろう。

留学生の出身国の姿勢も問われている。個人的にこう思う。なぜEU諸国などは日本政府に対して、留学生が来日できるようもっと強い発言をしたり、強い措置を取ったりしないのか。忖度は要らない。フランスもSNSなどで「スポーツ外交」を自慢するのに、留学生のためには水面下でなかなか進まない交渉をするだけ。大切なのは学生の未来よりアスリートのメダル?

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