日本人は知らない、能登半島地震に向ける中国人の視線
本稿執筆時点で、能登半島地震の石川県の犠牲者は236人、安否不明者は19人。この状況に胸を痛め、強い関心を寄せている中国人は少なくない。
日本政府が各国・地域からの支援の申し出を断っていること、2016年の熊本地震と比べて自衛隊の派遣が少ないことなどが報じられると、「なぜなんだ?」「日本が誇る救援隊はどうした?」とSNSで話題になったほどだ。
ただ、これはどちらも能登半島の地理的条件に原因があるらしい。日本でも野党や国民から国の初動対応を疑問視する声が上がったが、報道によれば、能登半島にはそもそも規模の大きな自衛隊の拠点がない上、山地が大半を占めている。しかも地震で道路網が完全に寸断してしまったため、平野部が被災した熊本地震と比べ支援・救援活動が難しく、人員も状況を見ながら増やしていくしかないのだという。
能登半島は私も旅行や仕事で3度ほど訪れたことがある。焼失した輪島の朝市、崩れてほぼ半分になった見附島(通称「軍艦島」)の映像を見ると心が痛む。これを辰年のせいにしてしまうと被災地の人々があまりに気の毒であろう。
中国には「否極泰来」という言葉もある。悪運極まれば幸運に転ず、という意味だ。元日の悪夢が終わり、新たな光明が差し込むことを信じつつ、一刻も早い復興を願うばかりである。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院を修了。通訳、翻訳、コーディネーターの派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレントとしても活動している。
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