最新記事

抗議運動

エミー賞の大注目作『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』が現実社会で抗議のシンボルに

2018年09月06日(木)17時20分
吉野潤子

アルゼンチンのブエノスアイレスでは8月5日、中絶の合法化を支持するデモにこのドラマを象徴する真紅のローブの女性たちが参加 Marcos Brindicci-REUTERS

<女性の権利を訴える抗議運動で赤いローブを着用することが今世界でトレンドとなっているようだ。そのメッセージは話題のディストピアドラマから>

トランプ米大統領が保守派のブレット・カバノー氏を米最高裁判事に指名し、米国では再び議論が起こっている。危惧されていることのひとつが、女性の中絶権が認められにくくなることだ。

指名公聴会初日、ハート上院ビルには、真紅のローブに真っ白な帽子のコスチュームに身を包んだ女性たちが抗議のために集結。この様子は、米CNNのほか世界のメディアが報じた。女性たちの正体は、リベラル支援団体「Demand Justice」のメンバー。

抗議といっても、彼女たちは騒ぐことなく、静かに公聴会を見守っていただけだ。しかし、この色鮮やかなビジュアルこそが、言葉より何より雄弁なメッセージを語っていた。

エミー賞15部門ノミネート! 話題のドラマが現実に飛び出した

このコスチュームは、昨年度エミー賞5部門受賞、2018年ゴールデン・グローブ賞2部門受賞のHuluオリジナルドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の中で侍女たちが着用していることで知られている。同ドラマのシンボルとも言える存在だ。

9月17日に授賞式が開催予定の第70回エミー賞でも、15部門にノミネート。フェミニズム的観点からも高評価を得ている。日本でも、シーズン2の配信がHuluでスタートしたばかりだ。

カナダ人作家マーガレット・アトウッドが1985年に発表した同名小説が原作の本作は、架空の国家「ギレアド共和国」によって「国民を生産するためだけの道具」として捕らわれた侍女が主人公だ。女性に自身の肉体についての決定権がなく、国家から「産むための機械」として徴発されるディストピアを描いている。

考えるのも恐ろしいストーリーだが、そこには今も私たちの目の前に立ちはだかる問題も含まれる。それが色鮮やかで美しいダークメルヘンにデフォルメされているのがこのドラマだ。

この「伝わりやすさ」「わかりやすさ」を活用して、女性の権利を訴える抗議運動で赤いローブを着用するのが今世界中でトレンドとなっているようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低

ビジネス

日本企業の政策保有株「原則ゼロに」、世界の投資家団

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    ミーガン・フォックスの「すっぴん」に「誰これ?」..…

  • 2

    サッチャーから気鋭の記者まで演じ、「Gスポット」を…

  • 3

    なぜ女性はクラウドファンディングの資金調達に成功…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    メーガン妃から「ロイヤルいちごジャム」を受け取っ…

  • 2

    シャーロット王女の「プロフェッショナルぶり」に賞…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    ミーガン・フォックスの「すっぴん」に「誰これ?」..…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    メーガン妃は「努力を感じさせない魅力がお見事」とS…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 5

    メーガン妃から「ロイヤルいちごジャム」を受け取っ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が愛した日本アニメ30

特集:世界が愛した日本アニメ30

2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている