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タックス・法律の視点から見る今のアメリカ

秦 正彦(Max Hata)|アメリカ

コロナ禍2020年のアメリカ・ホリデーシーズン (1)

飾り付けは例年通りだけど、レストランの営業に厳しい制限が加えられたり、春まではマスクというものをしているアメリカ人は皆無だったのに、今ではほぼ全員マスクしてたり、異様な雰囲気のホリデーシーズン。写真はモール(Hudson Yard)の中を練り歩くビジターに「一方通行(対面通行)」を呼びかけている看板。(Photo by Max Hata)

お久しぶりです!

前回のポスティングを10月中旬にアップした後、いつもにも増して多忙を極めてしまい、11月はすっかり出遅れてしまった。タックスオタクのために昔から書いているもうひとつのブログにもOECDやGILTI、果てはPFICまで、書かなくちゃいけない(?)最新情報が続々と登場してるんだけど、そちらもアップできず仕舞い。

コロナ禍でクロスボーダーのMobilityは中断してて、そういう意味での経済活動は未だ滞りがちだけど、そんな環境下でもCorporate系のTransactionや日本企業によるファンド投資みたいな相談は後を絶たず、国内外の出張がないにもかかわらず。前より反って時間がないっていう変なパラドクスに陥ってる。連夜のTeamsミーティングとかは今や時差とか関係なくセットアップされ、以前より節操のないスケジュールになってる感じ。

ポジティブな見方をすれば、こんな前代未聞の経済下でも、新しい切り口でM&Aとか組織再編とかが継続していくプライベートセクターの生存本能だろうか。プライベートセクターの弾力性やそれを支えるアメリカのProfessional Service Firmの層の厚さを痛感した半年だ。SPA(M&Aの株式買収契約書)の文言も時と共に進化していく。思い起こせば、9・11の同時テロってもう20年近い前の話しなんだけど、それ以降のSPAでは、MAC条項にテロをどう取り扱うかっていろいろな議論があった後、徐々に業界スタンダードのようなものが出来上がっていったけど、2020年、特に3月以降のMAC条項にはパンデミックをどう扱うかっていう点が交渉時のひとつの焦点になる。ここ数か月でもVictoria's SecretとかLouis Vuitton/Tiffanyとか法的にディープなDealがあり、事実は小説よりも奇なり、じゃないけど、各社が3月からどれだけ州政府のロックダウン命令に苦労して対応してきたか、その間に従業員の多くが職を失ってたり、店舗リースの賃貸の支払いをストップしたり、背景の事実関係を読むだけでも生々しい。

アメリカを含む世界の社会情勢の動きは激しいから、取り上げたいトピックが刻一刻次々と現れる。このブログでは、敢えて、皆さんが他では接する機会が少ない(つまり人気のない?)客観的というか法的というか、アメリカの建国趣旨ともいえる政府に余計な口出しをされない個人の自由を追求する、っていう切り口から攻めていきたい。もしアメリカがこの趣旨を忘れてしまったら世界中見渡しても、他にもっと自由を追求できる場所は今のところないからね。

アメリカ・ホリデーシーズンは例年だと9月から?

アメリカは9月に新学期が始まるけど、州やさらに州内でも学校によって始業日はバラバラ。その昔、アメリカに来た頃はこういう些細なことにも驚いたものだ。4月1日に全国で学校が始まって、ある日、実際の気候とは関係なく一斉に衣替えしたりするのが普通だった時代に日本で育ってたからね。新学年は8月中旬から9月後半のどこかで各学校の日程に基づきスタートする。9月1日前後に誕生日がある生徒は自主的にどっちの学年に行くか決めることができたりするのも驚きだった。

で、8月中旬くらいから街はめっきり「Back to school」色が強くなる。既に持ってるくせに別の色のFJALLRAVENのバックパック買ってみたり、学校指定の必須持ち物リストをTarget(日本の昔のダイエーみたいになんでもある店)に探しに行ってまだ削ってもない去年の色鉛筆が家に眠っているのを忘れて、また24色の鉛筆セット買ってみたり、いつも最初の5ページしか使わないのに、また別のノートやバインダーを買ったり、と忙しい時期だ。街がBack to schoolっぽくなると、「今年も終わりが近いな」って気がする。

え~、8月なのにいくら何でもチョッと気が早いんじゃない?、って思うかもしれないけど、夏休みが終わった後のアメリカの展開は早い。もたもたしているとすぐに10月末のハロウィーンが来て、日が短くなるばかりでなくDaylight Saving(サマータイム)が終わり午後4時半くらいから暗くなる。そうこうしてる間に次はターキーのThanksgiving、そしてHanukkahやクリスマスを経て年末のクライマックスに至る。その盛り上がりと比較すると、アメリカの新年はあっけない。1月1日こそ祭日だけど、年始を祝うというよりは大みそかにTimes Squareとかで盛り上がった疲れを取るのに精いっぱいで、お節料理、お雑煮、七草粥がある訳でもなく、1月2日から何事もなかったように通常業務に戻る。もちろん振袖で街を歩く人もいないし、隠し芸大会みたいな楽しいイベントもなく、年後半のホリデーシーズンに見られる盛り上がりがウソのようにAnother Yearの開始となる。Reality bites...。

で、コロナ禍2020年のホリデーシーズンは?

2020年はコロナ禍でもちろん状況は一変。Back to schoolもいつから学校が本当に再開するか分からず、基本オンライン、よくてハイブリッドで開始されたところが多い。となると、FJALLRAVENの新しいバックパックも要らないし、オンラインクラスは多くの生徒にとって実はあんまり機能していないんで、ノートも不要なケースが多い。電子機器やブロードバンド増強みたいな一定の世界には特需があったかもしれないけどね。実に寂しい新学期となった。

長引く学校閉鎖を原因とする学力の低下や習慣の変化はアメリカの将来を憂う一つの原因だ。4年しかない大学の学部課程のキャンパスライフの1年近い喪失とか、影響は図りしれない。学校を再開するべきかどうか、っていう重要な議論をすること自体憚れるような感じになっていて、学校を長期に閉鎖するリスクは子供たちにとってコロナのリスクより反って過大っていう専門家の見方はそれはそれで一つの意見だと思うけど、学校閉鎖に物申すようなコメントは余り人気がない。ロックダウンを巡る議論も同様。結果、国民がどちらを支持するかを決める意思決定のプロセスにおいて、本来存在するべき言論の自由や闊達な議論がないような感じ。

なんかこの変な感じは、コロナ禍でそれが加速した感がある。新聞とかニュースとか昔は信頼できる情報源としてみたり読んだりできた。この4年で各ネットワークの色が出過ぎてて同じ話題でも報道のされ方が大きく異なるよね。なかなか多角的なビューポイントを得るのは難しい世の中。

アメリカの言論の自由に関しては、別の機会にジックリと触れたいよね。知り合いにロシアから何年も前に移民してきた人がいて、ソ連時代の恐怖を話してくれることがあるんだけど、それだけにアメリカの自由は大切にしないとね。まさか、西洋は5世紀のローマみたいになりつつあることはないと思うけど、次の世代のみんなにも個人の自由が保障され、各々の価値観で人生を開拓していけるアメリカが存続していて欲しい。

ちょっと、複雑な話しになってしまったけど、2020年のホリデーシーズンの話しだったよね。秋が来てようやく細々と経済が再始動し、ホリデーシーズンまで持ち堪えて、来年の春に繋がるかな、って期待してたんだけどね。ウイルスの絶滅は難しいだろうから、4月のロックダウンで経済や州民の雇用が致命的な打撃を受けた経験から何かを学び、リスクファクターに基づくバランスの取れた政策を取ってくれることを期待したい。

Xmas 2020.JPEG

遠目に見ると飾り付けや色はキレイ。でも実際には州のコロナ政策でNYC経済は致命的な打撃を受けているので寂しさは否めない。2021年のホリデーシーズンは少しでも多くの市民が明るい気持ちで迎えることができますように。写真はMadison Square ParkからEmpire State Buildingを望むもの。(Photo by Max Hata)

またしてもレストラン閉鎖

結局は、夏から秋にようやく少しづつ細々とオープンしていたものの、冬を迎えてまたしても一部の州で政府主導の多くの制限が復活。カリフォルニア州知事のNewsomeで場所によっては「屋外」のレストラン営業も制限しているし、ニューヨーク州知事のCuomoも明日の月曜日からNYCのレストランの室内営業を禁止と発表してる。

何事にもリスク・フリーという状況はないけど、データ的にはレストランで感染が拡大した例はほぼないとのこと。一方で、ディスタンスやマスク着用対応が徹底されない、というかコンセプト的にそれらの要件に準拠するはずがない、自宅のパーティーとか集まりで拡大することが圧倒的に多いらしい。NYCのレストランは、秋には州政府が半年ぶりに「キャパの25%制限」という採算レベルには到底達っしないであろうレベルで室内営業の許可を出している。もちろん春から夏に掛けての前代未聞の閉鎖命令で永遠に店を閉めた個人経営のレストランも多い。25%制限に加え、換気設備を一新させたり、テーブルの間にPlaxiglassの仕切りをセットアップしたり、レストランはかなりの出費を余儀なくされたはず。それだけの投資をさせた挙句の果てにまた急に閉鎖命令。

室内営業の開始は、道が狭くて冬は寒いんで屋外営業など非現実的なNYCでは多くの人の生活にとって死活問題。NYCやカリフォルニア州はアメリカの中でも特に経済復活の兆しが見えない場所だけど、これで更なるダメージは必至。州知事や官僚の判断は恣意的で釈然としないことが多い。Newsomeは自分はNapa Valleyの高級フレンチレストランで大騒ぎでパーティーしていた、って報じられてるけど、ある意味、そっちは何となく自然な気がして、考える部分があるとすると他の人に自分ができない制約を押し付けるダブルスタンダード部分。

まあ、最終的には信じられないスピードのワクチン到来が明るい話題かな。トランプ政権の置き土産「Operation Warp Speed」で来年春には経済再始動するといいけどね。

夏と異なり、最近はサウスダコタ州やワイオミング州に車飛ばして行ったりしてないんで、カリフォルニア州とかニューヨーク州しか見てないけど、どっちの州も政策には疑問が絶えない。TeslaやSpace XのElon Muskもついにカリフォルニア州に引導渡してより自由なテキサス州に行ってしまったし。と、ついつい政治的な話が多くなってゴメン。次回はもう少し街の様子に触れるからね。

 

Profile

著者プロフィール
秦 正彦(Max Hata)

東京都出身・米国(New York City・Marina del Rey)在住。プライベートセクター勤務の後、英国、香港、米国にて公認会計士、米国ではさらに弁護士の資格を取り、30年以上に亘り国際税務コンサルティングに従事。Deloitte LLPパートナーを経て2008年9月よりErnst & Young LLP日本企業部税務サービスグローバル・米州リーダー。セミナー、記事投稿多数。10年以上に亘りブログで米国税法をDeepかつオタクに解説。リンクは「https://ustax-by-max.blogspot.com/2020/08/1.html

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