World Voice powerd by Newsweek

Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア

平野美紀|オーストラリア

感染拡大からゼロコロナへ!メルボルンの大逆転戦略とは(1)

最初に行われたロックダウン時のメルボルン中央駅前トラム停留所で待っていたのはわずが2人のみ…(Credit:DavidHewison-iStock)

欧米では新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、ロックダウンしても緩和するとすぐに逆戻りしてしまい、再び行っているロックダウンでも効果がなかなか表れない苦しい状況が続いている。

豪ビクトリア州も一時は急速に感染が拡大し、国全体の死者数の約9割を出してしまったが、感染爆発から一転、市中感染をほぼ完全に制御して経済を再開。現在も新規市中感染ゼロを更新しながら、生活はほぼ元通りとなり、経済も順調に回復している。

2月8日からは州都メルボルンでの全豪オープンテニス開催を控え、豪国内の他州と比較しても、最も早く経済回復するのではないかという予測もあるほどだ。(参照

ビクトリア州はどのようにして感染爆発状態を制御することに成功したのか? 市中感染が蔓延し、感染者数の増加が止まらなくなった都市が感染を制御するためにやったこととは―――

そのヒントを探るために、ビクトリア州が感染制御に至るまでの軌跡を2回に渡って振り返ってみたいと思う。

豪国内唯一、2度のロックダウンを経験したビクトリア州

iStock-1266700822.jpg

8月のロックダウンで最も厳しい規制となるステージ4に突入したメルボルンのライゴン・ストリート(Credit:DavidHewison-iStock)

前回の「突然のクラスター発生、ロックダウンは効果あるのか?」でも触れたように、オーストラリアは3月19日に国境を閉鎖し、連邦政府が打ち出したロードマップに沿って、3月下旬から「ステイ・ホーム」を呼びかけるロックダウン状態に入った。(この時点では"ロックダウン"という言葉ではなく、規制を導入し、街の機能を一時的に制限することから"シャットダウン"と呼んでいた)(参照

ロックダウンの内容は州毎に異なるが、ビクトリア州では3月23日正午から開始し、5月に入ると感染者が1桁から多くても十数件となり、6月に入ってからはほぼ5件以内に減少。6月6日に発表された前日の感染者数は、パンデミックが始まって以来初めて「0」となり、規制の緩和が進んでいた。(参照

ところが、それから2週間と経たない 6月20日、感染者数が20を超え、これまで行ってきた規制緩和を止め、22日から再び強化へと逆戻りした。(参照

それでも、その後も感染者数は増加する一方...

6月末には75件を記録し、7月2日から感染蔓延地区限定ではあるものの、再びロックダウンを行わざるをえなくなった。

地域限定ロックダウンの効果は限定的か?

7月4日発表の段階で100件を超えてしまったことから、5日には「メルボルンの事例にみる感染拡大しやすい都市1」でも触れたクラスターとなった公営住宅を強制ロックダウン。その後も封鎖対象地区を拡大していったが、7月7日には191件を記録。(参照

200の大台が見えてきてしまったこの時点で、州政府は、7月8日からメルボルン都市圏全体で6週間のロックダウンを行うと発表した。(参照

これを受けて、これまで他州に対して州境を閉鎖してこなかったニューサウスウェールズ州が、初めてビクトリア州境を閉鎖。この隣り合う2州間の州境閉鎖は、スペイン風邪流行時以来、実に100年ぶりのことで、この措置によってビクトリア州は、他州との行き来ができない孤立状態となった。(参照

7月9日には感染者数288件と日ごとに大幅な増加傾向が続き、8月2日には671件へと急増。州政府は、この日、これまで出されていた緊急事態宣言に当たる「State of Emergency」に加え、州政府の権限をさらに強化することができる「State of Disaster」を宣言。メルボルンのロックダウン規制を最高レベルのステージ4へと引き上げ、州内全域のロックダウンへと踏み切った。(参照

この時のロックダウンは、メルボルン都市圏では最終的に111日間にも及ぶ長いものとなり、それは、単に新規市中感染を0にするだけでなく、その先を見据えて設定した厳しい目標値も達成しなければならないという、世界でも前例のない厳格なロックダウンであった。

次回では、その『世界で最も厳しいロックダウン』といわれたロックダウンの内容と、地域限定ロックダウンで効果がなかった理由について考察してみたいと思う。(続編・第2回はこちら

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ