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カリフォルニア法廷だより

伊万里穂子|アメリカ

高速道路のキャンプ場化が止まらない

著者撮影。高速の路肩のテント

私の住むシリコンバレーは全米でも有数の地価が高い金持ちの多い地域です。

近年、ハイテク会社に勤める高級取りの人口が爆発的に増えたため地価が高騰し人口も密集し大変住みにくい地域になりました。アップル、グーグルなど錚々たる会社が本社を構え、そこに勤めるエンジニア達が大挙して入り込んで来たので、物価が釣り上がり、ハイテク会社の給料を貰っていない人口にはとても住みにくくなりました。

高校さえ卒業すれば家も車も買えて家族も養う事のできる職につけた、というのはふた昔前の話で、その波に乗り遅れた低教育な白人が完全に負け組になり、行き場を失いアル中薬中になりホームレスになって高速道路の路肩にテントをはり住んでいる、というのがシリコンバレーの現状です。

アップルやグーグルに勤めるインド人やアジア人の高給取りが家賃を釣り上げてしまい、1ベットルームの家賃がとんでもなく高くなり、負け組は強制退去をくらい、車に家財道具を積み込み車の中で暮らしたり、安いモーテルに泊まったり、それもできなくなると高速の路肩にテントを張ってそこでホームレスになる、という具合なのです。

ハイテクに勤める小金持ちが多く、道ゆく車はピカピカのベンツ、BMW、レクサス、そして新しい富の象徴とも言えるテスラがバンバン走っている横でテントに住み、盗んできた自転車とお店のショッピングカートに持ち物を載せて高速を彷徨うホームレスがいるというのもとても対照的なシュールな光景です。

貧富の差がありすぎて、なんでみんなもっと普通に幸せに暮らせないんだろうな、と思いますが、金持ちはさらに金持ちになり、貧乏者はどうしたって貧乏なまま、というものらしいです。

メキシコ人は違法移民と、目の敵にされていますがホームレスを良く見るとメキシカンはあまりいません。メキシカンは日雇いでもなんでも頑張って仕事をするので、ホームレスになって昼からテントの前でお酒を浴びるように呑んでいるという事はあまりないようです。

私は麻薬法廷という、薬物中毒者のリハビリを重点視した特別な法廷に何年か勤めました。そこでも思ったのが、被告人の割合は移民よりも非移民が多いということ。

移民は毎日の生活に一生懸命で薬物でラリるお金も暇もないのです。

もちろん移民で薬物中毒になる人がいないわけではない。移民でもメキシカンやベトナムのギャングに入り、薬物売買、中毒、とどっぷり司法のお世話になる移民ももちろんいます。

そうして仕事も家族も失なった人がホームレスになり行き着く場所が高速道路の路肩なのだ。

カリフォルニアの路肩は割と土地に余裕があり沢山木が植っていて、車が突っ込んでくる危険を除けばテントを張って住める場所が沢山あるので、ホームレスは高速の路肩にテントを張り住んでいる。もともと公園などにホームレスというのは集うものですが、公衆トイレが公園にないカリフォルニアでは、公園で一般人に白い目で見られたり、ホームレス同士縄張り争いするよりも、高速の路肩の方が広々伸び伸び暮らせる、というので高速の路肩がキャンプ場のようになっているらしいのです。

高速に歩行者がいるとは運転している人が思わないので、こういうホームレスが夜中轢かれる事故も多くなっている。定期的に高速を管理するCAL TRANSがテントは撤去するが数日するとまたどこからともなく舞い戻ってきてテントの群ができているという状態です。

市や州がコロナが流行りはじめた頃に税金でホテルを借り上げてホテルに住まわせる、という対策を取りましたが、飲酒や麻薬の使用にとやかく言われるのが嫌なホームレスはいまだ野外生活を続けています。

コロナが山火事のようにホームレスに広まり、ホームレスの数が激減するのではないか、と危惧されましたが、野外で生活していて、免疫力が一般人よりも強いのかあまりホームレス社会でのコロナの流行と言うのも耳にしません。

感謝祭の食事の食材も買えなくなり無料で提供しているボランティア組織に長蛇の列が出来る横をピカピカのテスラが通り過ぎる、貧富の差がますます大きくなっているシリコンバレーからお届けしました。

 

Profile

著者プロフィール
伊万里穂子
大学中退後カリフォルニアに移住。海外で手堅い職業をと思い立ち公務員に。裁判所の書記官になる。勤続18年目たった一人の日本人書記官として奮闘中。ブログ「リフォルニア法廷毒舌日記で日々社会の縮図とも言える法廷内で繰り広げられる人間模様を観察中。著書:「お手本の国の嘘」新潮新書

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