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カリフォルニア法廷だより

伊万里穂子|アメリカ

ワクチンの優先順位で見える自分の社会での立ち位置

Bombuscreative-Istockphoto

マスク着用を推す新政権になり、春が近づき、ワクチンも三社目に許可が下り、明るいニュースが多くなって来ているカリフォルニア州です。

今年の雨季は雨があまり降っていないので、夏の火事が心配ですがゆっくりですが学校の再開、レストラン内での飲食の許可など良い方向には向かっていっているかんじです。

ワクチンを大規模に推していますが、80歳を超えている義母がかかりつけの病院で受けられなかったり、金持ちの地域の人が貧しい人の地域に出張ってワクチンを受けているのが問題になったり、まあうまくはいっていません。何しろ貧しい人はスマホで予約、とかワクチン会場まで車で行かれない、という問題があり、それを嗅ぎつけた白人の金持ちが治安の悪いあの地区のアポなら取れるらしい、と大挙したらしいのです。

ワクチンの前は郡の保健課が貧しい地区の家を一軒一軒歩いて回り、コロナのテストをしていました。

貧しいと少し具合が悪いから、と言って仕事を休んでコロナのテストを受けたりしないですからね。具合が悪くても仕事に行かないとお金が入らないですから。いくら広告を打って、無料です、アポなしでも大丈夫です。とテスト会場で待っても来てくれないのです。なので家にいる夕方以降の時間を狙ってローラー作戦で自宅まで行ってテストを受けてもらっていたようです。

ワクチンの優先順位が発表された時に、なんとなく、そうか自分の社会での重要性はこんなもんなのか、と思いました。

一番最優先は75歳以上、または老人ホームで暮らしている人、その職員、警察、消防などのfirst responder、医療従事者。とまあそこら辺までは分かります。ええ、そうでしょうね。この職種の人には元気で頑張って頂かないと、と思います。

次は65歳以上、または学校の先生、保育士、畑での農作業員、持病がある65歳以下。この持病も癌や心臓病などに加えて、肥満、糖尿病、があり、あ、それ入れたら、もうみんなじゃん。。。と思いました。肥満度のBMIが出ていましたが、多分私の同僚ほぼそのBMIは余裕でクリアできるレベルなのでみんな予防接種受けられる。いいなあ。と思いました。

畑の農作業員は違法移民が多く、住環境があまりに悪く、集団感染が多く起こっているので、その予防の為に最近になって新しく加えられました。畑まで保健課がバスで行ってその場で接種しているようです。来てくれと言っても来てくれない部類の人が多いので。違法移民だと言う事がバレてしまい捕まったらいやだ、と来てくれないので、こちらから出向くしかないようです。

そしてその次がなんとinmates 拘置所にいる犯罪者です。まあ集団で暮らしている、という理由は分かります。実際刑務所での集団感染は問題になっていました。でもこれは外部から持ち込んでしまう保安官が原因だったので、その保安官や刑務官が真っ先に注射したんだから、そんな先に回さなくてもいいんじゃない?と思うのです。まっとうにお天道さまに恥じない生き方をしている人を差し置いて、と正直思います。

そしてその次はスーパーや物流従業者。そうですね。スーパーが回ってくれないと色々困ります。この方達は先日時給が5ドルアップしました。危険に身を晒して毎日出勤しているから、だそうです。

いや、私たち裁判所職員も去年の3月から毎日危険に身を晒して出勤してます。。ロサンゼルスの法廷では法廷内で働く通訳の方がコロナで亡くなっています。

私の郡の裁判所職員でコロナで亡くなった方はまだ出ていませんが、コロナにかかった人はずいぶんいます。

私の郡の裁判長が群の責任者に二ページに及ぶなぜ裁判所職員が優先されるべきか、という手紙を送ったのですが、もちろん却下されたそうです。裁判所なんて開いてなくても別に誰も困らないし、と思われてしまうのが残念です。今注目されているのが学校の再開なので、とにかく学校職員にワクチン回して、子供を学校に戻さないと、皆焦っているので、ワクチンはそちらには回すけど、裁判所?どうでもいいし、という位置付けらしく。

というわけで今日もマスクを二重にして同僚ともランチを食べずにひたすら案件を黙々とこなし、誰であろうと1人でも多くの人が受ければ、それだけ自分も安全になるんだから、まあ自分の番まで待とう、とは思いつつもみんな不機嫌な裁判所です。

 

Profile

著者プロフィール
伊万里穂子
大学中退後カリフォルニアに移住。海外で手堅い職業をと思い立ち公務員に。裁判所の書記官になる。勤続18年目たった一人の日本人書記官として奮闘中。ブログ「リフォルニア法廷毒舌日記で日々社会の縮図とも言える法廷内で繰り広げられる人間模様を観察中。著書:「お手本の国の嘘」新潮新書

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