World Voice powerd by Newsweek

カリフォルニア法廷だより

伊万里穂子|アメリカ

止まらないアジア人狩り

Asian delight-istockphoto

私の住むカリフォルニア州の郡は白人の割合の方が少なく、逆に白人がマイノリティでアジア人が多くアジア系のスーパーも日本、中国、韓国、ベトナム、フィリピン、とあり、たくさんのアジア人が暮らしていて、在米20年これといって嫌な思いをした事もない、アジア人が大手を振って生活できる場所でした。

コロナが去年広まって行った時にコロナの出どころが日本じゃなくて良かった、と胸を撫で下ろしたのは在外だと自分が祖国の広告塔となり、良い事も悪い事も、あの人日本人だよね、と自分に降りかかってくるのです。東日本大震災後の放射能が西海岸まで来ている、とか、放射汚染された津波のゴミが西海岸まで流れ着いている、森さんが女性蔑視発言、とかそいういうニュースが流れるとやはり日本人としてとても肩が狭いのです。

前大統領が散々コロナをチャイナウィルスと呼んだり、カンフルーとカンフーとフルーを掛けた造語を使ったり、カジュアルなアジア人への差別を繰り返しアジア人への差別を国民に刷り込んでいたので、コロナが広まり始めた去年の春はアジア人への風当たりは強く、「黄色い猿祖国へ帰れ」と道を歩いているだけで怒鳴られたり、なんていう事件が多発していました。

昨年のBlack Lives Matterの暴動の時は黒人の人口の少ない私の街では暴動に参加している8割がメキシコ系とアジア人で黒人は一握り、同じ有色人種として、黒人のために立ち上がった、という感じでした。

そして一年経ち、新政権になり、ワクチンも進み、なんとかコロナもそろそろ抑え込めるのではないか、という今のタイミングでまたアジア人への暴力が増えているのです。

カリフォルニアオークランド、黒人が多く治安が悪い事で有名です。中規模の中華街があり、黒人とアジア人が隣り合わせて住んでいる地区でアジア人のおじいさんが歩いている所を突然黒人の若者がおじいさんを突き飛ばし、おじいさんは後ろ向きに倒れ、頭を打ちました。残念ながら被害者はその後病院で亡くなり、犯人は逮捕され殺人罪で起訴されています。

シアトルでは日本人女性が中華街を彼氏と歩いていた所石を靴下に入れたものを振り回され襲われ、鼻の骨や歯を折る大怪我をしたそうです。

マンハッタンでもアジア人を対象とした暴力が後を立たず、なぜ今のタイミングでまたアジア人狩りなのだろうと思うのです。

コロナ以前もお店の駐車場などではアジア人は現金を持ち歩いていると思われてよくひったくりにあう、というニュースが多かったので、夫によく気をつけるようには言われていました。アジア人は現金、インド人は身につけている金のアクセサリーを追い剥ぎにあう、というのが流行っていました。インド人の子供の登下校を狙って身につけている金のイヤリングや腕輪を取り上げる、というのが一時期問題になっていました。インドは小さい子供にも金のアクセサリーをたくさん付けさせる文化があり、しかも本当の金の物を身につけている、と犯罪人に知られ、子供相手の強盗が多発しました。

アメリカはキャッシュレスが多く私も全く現金は持って歩かないので、襲われた所で盗られる物もそんなにないしな、と思っていたのですが、なんでまた今のタイミングで、しかも犯人が黒人が多いという所も何か引っ掛かるのです。コロナ禍。みんな仕事を失ったり家族をコロナで失ったり、イライラする事ばかりで当たる相手がいなくてなんとなくアジア人がみんないけないんだ、みたいな流れになっているのか、正直暗くなってからは1人で買い物に出ないようになりました。何がきっかけで襲われるか分かりませんからね。

サンフランシスコとオークランドの中華街では自治団が老人をエスコートするというサービスを始めました。はっぴを来た自治会の係数人が老人が1人歩きをしても危なくないように同行してお守りする、歩いてのパトロールも強化という事です。

先日アジア人への差別を止めるためのデモパレードも行われたようです。

おとなしい、体が小さい、現金を持っている、反撃しない、と今までもかっぱらいのいいカモになってきたアジア人ですが、これがコロナ禍の小金欲しさからの犯罪なのか、人種差別に根付いた犯罪なのか分かりませんが、早く治安が元に戻り外に出て嫌な思いをしなくて済む世の中に戻って欲しいものです。

 

Profile

著者プロフィール
伊万里穂子
大学中退後カリフォルニアに移住。海外で手堅い職業をと思い立ち公務員に。裁判所の書記官になる。勤続18年目たった一人の日本人書記官として奮闘中。ブログ「リフォルニア法廷毒舌日記で日々社会の縮図とも言える法廷内で繰り広げられる人間模様を観察中。著書:「お手本の国の嘘」新潮新書

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ