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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

国際女性デーと暴動集団

©️YouTube (Blu radio-Así avanzan las marchas por el día internacional de la mujer en Bogotá)

3月8日は国際女性デーでした。

日本ではそこまで大きな出来事は起こらないと思いますが、近年コロンビアをはじめ南米の多くの国では女性が権利を主張する日として各地でデモ行進が行われます。

しかし2020年のジェンダーギャップ指数を見てみると153ヵ国中コロンビアは22位(日本は121位)。経済協力開発機構の調べによると2019年の男女の平均賃金の差は日本が23,48%と韓国に次ぐワースト2なのに対し、コロンビアは4%とルーマニアに次いで2番目に賃金差が少ない国となっており、労働現場では比較的に男女差が少ない国と言えると思います。

では女性がデモをしなければいけない理由はどこにあるのでしょうか?

仕事の面では男女差が少ないにしても、私は家庭内においては女性が犠牲になっていることが多いのではないかと感じています。コロンビアをはじめとした南米諸国では「男らしさ」「女らしさ」といった様な考えがまだ根強く残っており、炊事洗濯や子供の世話の様な家庭の仕事全般は女性が担っていることが多いと考えられています。そのためパンデミックで小学校や幼稚園が閉校になった時に多くの女性が職を手放すことを余儀なくされ、それが女性の失業率を極端に高める大きな要因となりました。

それだけではありません。例えば、コロナウイルスの感染防止対策として外出が制限されたことで経口避妊薬の購入が容易でなくなったなどの理由から、パンデミック中に望まない妊娠をした女性が増加したと言われています。コロンビアでは人工妊娠中絶が違法とされており(母体に生命の危険がある場合を除く)、例え望まない妊娠であっても選択をする自由はなく、女性がキャリアを諦めなければいけないというケースも残念ながらこの国ではよくあることなのです。昨年末アルゼンチンが中絶合法化の法案を可決しましたが、中南米で他に人工妊娠中絶を認めている国はたった5ヵ国しかなく、中絶を選択することのできる権利を求める運動が南米諸国で強まっています。

またパンデミック中に問題になった出来事の一つとして家庭内暴力が挙げられます。南米の多くの国では家庭内暴力のホットラインがありますが、国連の調べによるとパンデミック中の電話相談件数は南米のいくつかの国でおよそ5倍にも跳ね上がったと言われています。さらにパンデミックに関係なく南米では以前から元夫、元交際相手、身内などによる女性の殺人事件が多発しており、コロンビアでは今年1月の間は20時間に一人のペースで女性が殺害されたと言われています。

「女性の命と人権を尊重して欲しい」そういう思いから首都ボゴタをはじめコロンビア各地で多くの女性がデモ行進に参加しました。

 

平和なデモの一方で・・・

デモは14時に開始され、殺害された女性の遺族や様々な人権団体のグループ、それらに賛同する人々が平和的なデモ行進を行いました。また、広場では被害者を想ってロウソクに火が灯されたとのことです。

しかし一方でごく一部の少数グループによって放火や破壊行為なども行われ、ボゴタのクラウディア・ロペス市長はこれらの行為に対しTwitter上で「これはデモでもフェミニズモでもない。過去の女性たちの戦いを讃える日を、主張することを破壊することだと勘違いしている少数の暴力的グループに利用させることはあってはならないことだ」と、これらの行為を否定しました。

国際女性デー翌日のニュースでは、たった一部が行ったこれらの破壊行為が中心に報じられてしまいとても残念でなりませんでした。反政府デモなど、デモの度に毎回現れる何らかの暴徒たち。他の参加者の主張を台無しにしてしまう彼らの行動には毎度毎度いちいち呆れてしまいますね。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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