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その日、或る移民が思うアメリカ

中島恒久|アメリカ

アメリカ人に帰化するという事と日本国籍を喪失すると言う事 其の一

Nov 17, 2019 San Francisco / CA / USA - U.S. Citizenship and Immigration Services (USCIS) office located in downtown San Francisco; USCIS is an agency of the U.S. Department of Homeland Security (DHS)-iStock.

移民として色々書いてきている訳ですが、国籍の話は避けられないな、と思うので今日は国籍の話をしたいと思います。

初回のブログにも書いたのですが、私はアメリカの抽選永住権に当選して移住しました。いわゆるグリーンカードと言うものを取得した訳ですが、日本でその話をすると結構多くの方に「アメリカ人になったの?」と聞かれる事が多かったです。分かりにくいかも知れないので最初に説明しておくと、アメリカの場合は永住権(グリーンカード)というのは移民ビザというカテゴリになります。つまり、あくまで他国の国籍を持つ「外国人」に対して合法的に居住、就労などをする事を認めるビザでしかありません。10年という有効期限もありますし、更新には費用も発生します。

一般的には永住権を取得後の5年間アメリカに居住している実績があり、犯罪等を犯していなければアメリカ市民に帰化する権利を得ることが出来ます。永住権者には無く市民権者にある権利は選挙権であり、義務は裁判における陪審員になります。そして、永住権者と市民権者の大きな違いは家族への永住権申請の優先度が上がるという事です。アメリカに配偶者や家族を呼び寄せたいという思いを持っている移民にとって市民権取得はMustとも言えるでしょう。

では、毎年何人くらいの人がアメリカの市民権を取得しているのでしょうか?Department of Homeland Security(アメリカ 国土安全保障省)のAnnual Flow Report U.S. Naturalizations: 2019からデータを見ていきたいと思います。

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2017年は707,265人、2018年は761,901人、2019年は843,593人と増加傾向にあります。これはその時の世界の景気や戦争などにも影響されるのですが、トランプ政権になって永住権者の権利がはく奪されるかもしれないという不安を反映して市民権取得数が増加しているという事はあるかな、と思います。

ちなみに同じ期間で日本国籍を取得した人数はどのくらいいるのだろう?と気になったので法務省のウェブサイトから拾ってきました。2017年は966人、2018年は958人、2019年は884人と言う事でアメリカと比べると遥かに少ないのがわかります。いや、アメリカが多いと言う事なのかもしれませんが。

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話をアメリカに戻して、新たにアメリカ人になった人は元々どこの国籍だったのかも調べてみました。隣国であるメキシコが断トツで15%前後を占めています。次にインド、フィリピン、中国のアジア勢があわせて17%前後を占め、ベトナム、韓国そしてビルマがそれに続いています。日本人の市民権取得者の人数が出ていませんが、恐らく非常に少ないのでは無いでしょうか?

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先ほど永住権を取得してから5年で市民権を申請できると書きましたが、実際どのくらいの期間で市民権申請に踏み切るのか?というデータも出ていたので共有します。

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永住権取得してか平均して8年後に市民権を申請するという事なんですが、アジア勢は平均よりも1年早い7年で市民権を申請するというデータが出ています。アジア系の移民はさっさと帰化して家族を呼び寄せ、ここで生活のどんどん基盤を作っていくという傾向があるように感じますがデータがそれを裏付けているかな、と思います。しかし、そんなアジア勢の中で日本人は市民権を積極的に取得しようとしません。それは何故でしょうか?

Profile

著者プロフィール
中島恒久

海外経験ゼロからアメリカ永住権の抽選に応募して一発当選。2004年、25歳の時にアメリカ移住。ジャズベーシストとしての活動の傍ら、寿司屋の下働き、起業、スタートアップ企業、刃物研ぎなどの仕事を転々とした結果ホームレスになりかける。現在は日系IT企業の米国法人にてCOO。サンフランシスコ在住の日系アメリカ人の一世。

Twitter: @carlostsune

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