World Voice

スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~

永田賢|インド

インドにおけるリビングウィズコロナの日常:食品デリバリーサービス

筆者撮影

インドでは3月下旬から「ロックダウン政策」と呼称されるCOVID19感染封じ込め政策が発動され、6月まで生活必需品・医療品の買い出し以外は外出してはいけないという政策が走っていました。

そして、6月から徐々にアンロックインディアということで、規制が緩和されてきました。

というのも、そもそもの経済基盤がぜい弱(=そこまで財政に余裕がない)でインフラなどの整備も未発達と言われているインドにおいて、経済活動を停止するロックダウンを続けることはある意味、消費と生産の両方を停止と言っているようなものなので、最早感染者数は増えるのは仕方ないとして経済活動の再開に踏み切っていると推察できます。

この状況下で私も今まで以上にEコマースを用いた食材・食品購入をする機会が多くなりました。

今回は私がよく利用するベンガルール発・食品デリバリーサービスのスタートアップを紹介していきます。

1.Gourmet Garden(ベンガルール、オーガニック野菜)

Gourmet gardenはベンガルール発のスタートアップで、最近プレシリーズAの調達(参加投資家:インキュベイトファンドインド、Whiteboard Capital)を完了したばかりです。

【Gourmet Garden 会社ホームページ】

品揃えが豊富(果物からキノコまで揃っている)ので良く活用しますが、凄いのが、配達時にインドでよくあるSwiggyやZOMATOといったフードデリバリーサービスのプラットフォームを用いないで自社の配送網であくまでも自前配送で実施してくれる点で、しかも必ず1日から2日以内に新鮮な野菜を届けてくれます。

更に素晴らしいのが自社でハウスを保有しており水耕栽培と農薬無し栽培、ソイルレス栽培を実現しています。これらのアプローチによって無駄なフードロスを防ぐとともに、オーガニックな食品を顧客に届けることを志向しているのです。

【Gourmet Gardenのオーガニック野菜】

1605956961539.jpg

(筆者撮影)

しかも恐ろしいのが、以下のように小ロットで購入しても送料無料で届けてくれることです。

他社で似たようなロットでオーダーしたことがありましたが、送料だけで野菜購入分までチャージが掛かってしまったので、この対応は破格と言えるでしょう。

【Gourmet Gardenのオーダー画面】

(Gourmet Gardenホームページより、筆者撮影)

2. Licious(ベンガルール、食肉専門Eコマース)

続いて、食肉を専門に扱うLiciousですが、こちらも日本のニチレイが投資したことで話題になったスタートアップです。

【Licious 会社ホームぺージ】

扱っている食肉は牛肉・豚肉以外で鶏肉・羊肉・魚介類・加工品(ハム、ケバブ)・卵・ペーストソースと一般的な食肉コマースの会社に比べて段違いにラインナップが多いです。

既にインドで11地域(Bengaluru, Delhi NCR, Hyderabad, Chandigarh, Panchkula, Mohali, Mumbai, Pune, Chennai, Coimbatore, Jaipur)に展開しており、主要都市圏で拡大しつつあるようです。

そのオペレーションにおいて優れているのが、各地域に自前の加工センターを保有しており、契約農家から集約した肉を整えてお客さんのところへ配送している点です。

ニチレイ・What's the Next Innovation? ~新規事業紹介大市場インドのスタートアップ企業への出資より抜粋)

こちらもSwiggyやZOMATOといったプラットフォームは活用しないで配送を自社完結させています。

素晴らしかった経験としては、この手のデリバリーサービスは配送手続きが完了した後は、万が一デリバリーボーイが道などに迷った場合は、顧客がガイドしなければならないケースが多かった(配車サービスのOLAは、あくまでも顧客がドライバーをガイドするようにとのスタンスが主)ですが、Liciousはカスタマーセンターが丁寧に道をデリバリーボーイに案内して無事届けてくれました。

内装&外装も確りしており、ある程度日持ちしそうなつくり(要冷蔵)になっていました。

仮設の領域を越えませんが、外装パッケージもポップな形態にすることで、肉食をもっと身近でポップなものにしていこうという会社の気概が感じられました。

【Liciousの外装】

f:id:osadaken:20200412031245j:plain

(筆者撮影)

【Liciousの内装】

(筆者撮影)

気になる料金ですが、リーズナブルな構成になっているとともに、配送料のチャージをフリーにするプランも設定されており、「配送料がフリーなうちにもう少しオーダーしておこう」というように、お客さんのリピート率を高めるための上手な工夫だと感じました。

(Liciousホームページより、筆者撮影)

ユーザー目線で実際に活用してみたスタートアップのサービスを紹介してみましたが、これらのサービスに加えて、まだまだいろんなサービスがインドにはありますので、引き続き紹介していきたいと思います。

 

Profile

著者プロフィール
永田賢

Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。

Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/

Twitter: @osada_ken

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ