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スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~

永田賢|インド

ベンガルールのスタートアップエコシステム(日系動向編):JETRO

iStock

スタートアップエコシステムにはVC、インキュベーション、CVC、アクセラレータプログラムと様々なプレイヤーが存在しており、それらのプレイヤーの構成によってスタートアップエコシステムの特徴が形成されていると言ってもいいでしょう。

今回はそんなエコシステムの各プレイヤーに焦点をあててそれらの活動について紹介していきます。

大きな分類として、「日系動向」とカテゴライズして、日系のプレイヤーがどのような活動を展開しているか紹介していきます。

まずは、私が所属しているサグリ株式会社がインドへの進出に際して支援を受けたJETRO(日本貿易振興機構)に着目してベンガルールにてどんな活動を展開しているか紹介します。

1.政策的な背景:日印特別戦略的パートナーシップと日印デジタルパートナーシップ

まずは、政策的な前提からおさらいします。

「日印ヴィジョン2025 特別戦略的グローバル・パートナーシップ インド太平洋地域と世界の平和と繁栄のための協働」と銘打ったこの二国関係はアメリカに次ぐ特別なものと位置付けされています。

該当文章はこちらとなります。

「両首脳は,二国間の関与の方向性に満足の意を表明し,成長のための最大の可能性を持つ重要な関係である日印特別戦略的グローバル・パートナーシップを,両国の長きに亘る政治的,経済的,戦略的目標の広範な収束を反映した深淵かつ広範な行動指向のパートナーシップに,移行させることを決意した。」(上記より引用)

そして、この大方針に合わせて、「日印デジタルパートナーシップ」も締結され、二国間でのデジタル面、スタートアップ面での協業が促進されているのです。

該当部分としては、こちらとなります。

「両者は、互いの強みや長所を踏まえ、スタートアップ、企業間連携、エレ クトロ二クス・エコシステム、デジタル人材、研究開発協力、及び次世代 ネットワークのためのセキュリティといった双方に有益な分野における 努力を支援し、それら分野に尽力する。」(上記より引用)

このパートナーシップにおいて、両国の協力内容としてまず掲げられているのが、「ベンガルールに日印スタートアップハブを設立する」(上記より引用)であり、それに基づきJETROのベンガルールに設置された日印スタートアップハブにおけるスタートアップ関連活動もこれらの二大方針に基づいております。

2.日印スタートアップハブ

「日印スタートアップハブ」は上記の方針に基づいて、2018年6月にベンガルールに立ち上がった日印間のエコシステムを繋ぐ機関となっています。

以下がサービスラインナップとなっていますが、至れり尽くせりの内容となっています。

「1. 現地ブリーフィングサービス

現地エコシステムのビジネス環境・最新動向を紹介します。(1時間程度)大企業・業界団体等の方もご利用いただけます。

2. メンタリング(事業機会・資金調達等)

現地エコシステムを活用したビジネス展開を目指す日系スタートアップに対して、提携先アクセラレータのメンターより、事業機会や資金調達等に関するアドバイス、また、ピッチ・プレゼンテーションに関するアドバイス等提供します。ビデオ通話での面談実施も可能です。

基本上限時間は1社・1拠点あたり10時間までとします。

3. 現地パートナー候補・VC等投資家の紹介

2.のメンタリング実施後、提携先アクセラレータを通じて、次の追加支援を行う場合もございます。ただし、ご利用者の準備状況やアクセラレータが持つコネクションにより、必ずしもご希望に添えない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

現地パートナー候補企業、VC等投資家の紹介(基本1社・1拠点3件まで)

現地政府支援機関、有力アクセラレータ等の紹介

ミートアップイベントへの参加アレンジ

4. コワーキングスペースの利用

現地のスタートアップ用コワーキングスペースについて、無料で提供いたします。入居に先立ち、提携先アクセラレータとの個別面談の利用を推奨します。1社・1拠点最大3カ月までとします。但し各拠点、申し込みの状況により異なります。」

(引用元:JETROグローバルアクセラレーションハブ

私も2019年に活用しましたが、初期資金に限りのあるスタートアップにとってコワーキングスペースを3ヶ月無料で活用できるのはとても有難かったです。

加えて、メンタリングとマッチング支援で自社サービスをブラッシュアップできるので、立ち上げ期に自社サービスを展開するのに役立ちます。

更に有難いのは、日印両政府協働イニシアチブを活用して進出することができたので、信用も看板もない日系スタートアップがインドのマーケットで展開する際に箔付けとなり営業面で相手に対して信頼感を増すことができました。

現在、私が所属するサグリに加えて、以下の日系スタートアップ2社も日印スタートアップハブを活用して、インド進出を実現しました。

【日印スタートアップハブを活用した日系スタートアップ】

サグリ株式会社:衛生データ・機械学習・区画技術を組み合わせて、将来人類が直面する食糧問題や環境問題の解決に取り組む企業。 衛星リモートセンシング、土壌分析、機械学習をはじめとした技術を融合させ、 地球の今と未来を創造する。

株式会社アメグミファウンダーの、小さいころの虐待と貧困を原体験に、同じような家庭の人たちを支援することをミッションに掲げて、2016年10月に起業。新興国の農家や労働者が利用する安価・長持ち・最低限機能のスマートフォン向けのOSを開発。日本、インド、アフリカ、ブラジルにてビジネスを展開。

Vooth Technologies顧客との接点が限られているB2B企業の新たなタッチポイントとして、仮想空間上に企業ブースを設け、PCやVRデバイスなどを通じてセールス&マーケティング活動を行うことのできるプラットフォームを提供。日系企業で初めてNASSCOMインキュベーションセンターへ入居。

3.インド研究会JUGAAD

JETROスタートアップ支援課とベンガルール事務所によるスタートアップ向けのインド研究です。

2020年4月に立ち上がった本研究会は「日本のスタートアップがインド市場に対する知見を高める。」というミッションの下、毎月テーマを決めて勉強会を実施しています。

この取り組みで素晴らしいのは、現場を知る人々が経験に基づいた知見をシェアする点にあります。表面上な理解に留まらず、実務的な観点から「インド市場」を理解できます。

各回のスピーカーも豪華でこれで本当に無料でいいのかと思ってしまいます。笑

【研究会テーマ】

1.【総論】インド経済一般概況

2.【各論】インドのスタートアップ・エコシステム

3.現地投資家から見たインドのスタートアップ

4.インド人材の強みと高度人材採用

5.インドでの拠点設立にかかる登記/ビザ/税務等

6.インドのIT/ソフトウェア産業

7.インドの医療ライフサイエンス産業

8.インドのアグリテック産業

9.インドのデジタル・トランスフォメーション

【ウェビナー様子】

(JETRO撮影)

【研究会リンク】

インド研究会~Jugaad~ | Facebook

以上が、ベンガルールにおけるJETROの活動となります。まずは、これらの座組を活用してインド進出を試してみるのがベストだと思案します!









 

Profile

著者プロフィール
永田賢

Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。

Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/

Twitter: @osada_ken

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