コラム

「働き方改革」のウラで進む「時短ハラスメント(ジタハラ)」の実態

2018年06月05日(火)14時00分

いっぽうで、営業部や開発部などは本来クリエイティブな仕事です(本来、と書いたのは、クリエイティブに仕事をしていない人が実際には大勢存在するからです)。クリエイティブな仕事は、何をどこまでやることによって、どのような成果が戻ってくるのか、ある程度慣れるまでは予測がつきません。

「時短」の考え方で、資格試験に合格できるか?

たとえば社労士や中小企業診断士の資格に絶対合格してやろうとがんばっている人がいます。その人に「資格試験は絶対に合格しろ。でも勉強時間は30%カットしろ」と言ったらどうなるでしょうか。どれぐらい勉強時間をかければ、どれぐらい点数がとれるか、まだわかっていない状態の人に、「一律30%カット」などと通告したら頭がパニックになります。しかもそれらの資格を合格したこともないような人から「もっと効率よく勉強したまえ」「ちんたら勉強してても合格しないぞ」などと嫌味を言われたら、がんばっている人ほど苦しみます。

これは一種のハラスメントです。同じことをやるのに時間がかかる人もいるのです。特にクリエイティブな仕事をしている人に、慣れないことをさせているときは、あまりに「時短」を強要しないことです。

時短には時間がかかる

社労士の資格をとるのに「800時間」をかけた。にもかかわらず不合格になった人がいたとします。翌年「1000時間」をかけたのだけれども不合格。翌年「1300時間」かけてようやく合格したら、その人には「1300時間」が必要だった、ということかもしれません。

しかし、「1300時間」は多すぎるので、もう少し効率よく勉強していこうか。次に試験を受けるときは「1100時間」ぐらいで合格できるように工夫していこう――このように言われたら、がんばろうという気持ちになることでしょう(実際には何度も同じ資格試験を受ける人はあまりいないでしょうが)。

最初は合格するのに「1300時間」かかっていた人が、「1100時間」でも合格。「900時間」でも合格......と少しずつ「時短」ができるようになってくるのが本来の理想です。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

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