コラム

1社目は辞めてもいい? 「第2エリート」というキャリア戦略

2019年05月07日(火)17時09分

ところが実力のないドリーマーは、まず自分の理想の「状態」へショートカット(近道)ができるものと常に勘違いしています。この「ショートカット思考」が成功者になるうえで大きな阻害要因となって、行く手に立ちふさがることになります。ショートカットしようとすればするほど遠回りを強いられるという皮肉な人生を歩むことになるのですが、なかなかそのことに気付くことができません。

ドリーマーは、理想の状態へ近づくためのプロセスが煩わしいのです。プロ野球でいえば、入団後、一年目からすぐ一軍スタメンで起用してもらえると夢見ているような新人です。実力もないのに、そのような「状態」にすぐたどり着くはずがありません。ファームで諸先輩たちと日々汗を流してトレーニングしていても、常に上の空。夢にたどり着くためのプロセスに目を向けず、夢想ばかりしています。

典型的な「ドリームキラー」に気をつけろ

このような状態が続けば、いつまで経っても自分が思い描く理想の「状態」にたどり着くことができません。その積もり積もった不満が「愚痴」となって口から出てきます。

「社会に出たら、こういうことがやりたかったのに、全然させてもらえない。今の会社にはとても失望している」

しかし、この「愚痴」に付き合ってくれるのは、同じように現実に目を向けず、自己投資を怠る友人だけです。「自分資産」を積み上げられないショートカット思考の人は、結果的に素晴らしい「関係資産」にも恵まれないため、同じようなショートカット思考の仲間とつるむことになります。

現実を正しく受け止め、建設的にアドバイスをしてくれるリアリストはいいですが、何でも批判するクリティック(批評家)のポジションをとる友人に相談してしまうと、

「ばーか。今の世の中、そんなにうまくいくわけないだろ。頑張ったってムダ。こんな会社にいたって人生を浪費するだけだ」

などと無責任に言われてしまうのがオチです。ひどい場合は、

「やりたいことって何? そんな夢みたいなこと言ってないで、目の前の仕事をやるしかないんじゃないの。人生ってそんなもんでしょ」

と言われ、夢を断念させられたりします。これはいわゆる「ドリームキラー」と呼ばれる人の典型的な言説です。

自分にやりたいことがあって、それをするためにどうすればいいのか、建設的なアドバイスをしてくれるのがリアリストです。しかし「やりたいことがあっても、現実的には無理なんだから、そんなことは諦めろ」と言うのは「アドバイス」にはなっていません。その人の価値観を身勝手に押し付けているだけです。人の可能性を見限る権利は誰にもないことを知らないのです。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

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