コラム

ホワイト企業の価値って何? ホワイト企業だからって銀行融資の審査は甘くならない

2019年10月02日(水)16時25分

「ホワイト企業」は「ブラック企業」を敵対視する専門家が感情的に作った造語にすぎない Avosb-iStock

<就職活動のゴールを「ホワイト企業」にしている学生が多いが、人生を誤りかねない勘違いだ。目指すなら、ホワイトより「優良」企業だ>

「ホワイト企業じゃなくて、優良企業への就職を考えたら?」

と、ある就活生に私がアドバイスしたところ、混乱しているようでしたので、

「就活生はホワイト企業って言葉を使うかもしれないけど、社会人になったら、誰も使わないこと知ってる?」

と質問してみました。すると、その就活生は、さらに驚いていたのです。やはり、そうか──。

「世間知らず、と言われないように、もう少し経営のこと、ビジネスのことを勉強してから、社会に出ようね」

ホワイト企業は就活生が使う言葉

「ホワイト企業」という言葉が、お茶の間に浸透してずいぶんと経つ。若者の定着率が高く(離職率が低く)、やりがいを感じられるような職場、ワークライフバランスが整っている企業を「ホワイト企業」と呼ぶようです。

とはいえ、この言葉に違和感を覚える人はとても多い。とくに、経営というものをよく知っている人ほど、この言葉は使いません。

そもそも、若者の定着率が高く、ワークライフバランスが整っている職場だからといって、銀行融資の基準が甘くなると思いますか? なりません。

その理由を説明できないと、ホワイト企業に就職したいという就活生は「世間知らず」と言われることになります。転職エージェントや報道に振り回されないように、少しは経営の勉強をしましょう。

「ホワイト企業」とは何なのか? 改めて考える

恒常的に長時間労働を課し、とくに若者の離職率が高い企業を「ブラック企業」と呼びます。その存在を問題視した政府が対策に乗り出したことで「ブラック企業」という名称はずい分と世間に広まりました。

このブラック企業という言葉に、違和感はありません。ブラック企業は淘汰されるべきです。

ただ、バレンタインデーのお返しにホワイトデーがあるのと同様に、ブラック企業と対極の存在を「ホワイト企業」と呼ぶのは、いかがなものか。「ブラック」もあれば「ホワイト」もある、というように、何でもかんでも言葉を反転させて定義づければいいってもんじゃありません。

最初この言葉が出てきたとき、就活生を迷わすだけだから、テキトーな言葉遊びはやめろ。と思っていたのですが、まさかここまで定着するとは想像もしていませんでした。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story