コラム

駅や交差点で人にぶつかるような人が「部下育成」に向いていない理由

2020年01月29日(水)13時20分

歩きスマホ同士ならともかく、いっぽうが普通に歩いていたらよけられるはずだ。お年寄りや、体が不自由な方ならともかく、そうでもないのに、よけられないのは、なぜか。

「注意力」というスキルが足りない?

ラッシュ時の駅や、スクランブル交差点など、別々の方向に歩く人が混ざり合う場所で、人とぶつかってしまうことがある――。

そのような人は、気を付けたほうがいい。慢性的に、周りへの注意が足りない人だからだ。

同じ方向で歩いている人が多い場所でも、ぶつかるのであれば、かなり注意力が足りない。もしそういう人がキャリーバッグなどを使う場合は、よほど気を付けたほうがいいだろう。

「キャリブレーションスキル」――いわゆる「先回りの観察眼」が足りないからだ。

当然のことながら、このようにキャリブレーションスキルが足りない人は、「部下育成」には向いていない。

とくに昨今は、自分の感情をうまく表現できない若い人が増えている。意思表示が苦手な「コミュ障」と呼ばれる人も、少なくない。

だから、言語化されない部下の心の動き、表情や姿勢から発せられるメッセージを、しっかりキャッチするためのキャリブレーションスキルが不可欠なのである。

部下に「辞めたい」と言われてからでは遅い

現場で支援をしていると、キャリブレーションスキルが低いミドルマネジャーをよく目にする。

部下によく声をかけるし、飲み会にも積極的に誘う。はたから見ると、部下想いの上司のように見える。にもかかわらず、部下をうまく育てられないのだ。

部下からは「わかってくれてない」と思われているから、仕方がない。キャリブレーションスキルが低いからだ。

問題なのは、キャリブレーションスキルが低いことをなかなか自覚しにくいことだ。部下から「辞めたい」と言われてはじめて気づくのでは、遅すぎる。

優秀な客室乗務員は、「乗客にコールボタンを押されたら負け」と常に考えているそうだ。コールボタンを押される前から、乗客がこちらを見る目、見ていなくても行動の変化などを察知し、先回りして声をかけることが大事であると意識しているからだ。

部下育成だけでなく、これからの時代に必要なスキルである。

このようなスキルを身につけたければ、相手の一挙手一投足を見つめ、表情の変化を読み取り、次に自分が何をしたらいいのかを先回りして観察する習慣を身につけたい。

人混みに入っても、自分が向かう先のことばかり考えず、周囲に気を遣いながら進む努力を続けるのだ。歩きスマホをしている人を、ひらりひらりとかわすぐらいに感度を高めよう。日々の努力で、自然と身に付いていく。

20200204issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月4日号(1月28日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」特集。声優/和菓子職人/民宿女将/インフルエンサー/茶道家......。日本のカルチャーに惚れ込んだ中国人たちの知られざる物語から、日本と中国を見つめ直す。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story