コラム

基本的人権の理念を捨て、習近平を国賓に迎える安倍政権

2019年12月24日(火)18時00分

金儲けを優先する経済界は中国での利権を確保し続けたい。だから、人権や民主主義といった基本的な理念を捨てて、中国にべったりとなっている。そして、経済界からの支持で自らの「アベノミクス」の成功物語をレガシーに作り替えたい政権が、同盟国アメリカを「裏切る」方向へ舵を切りつつある──少なくともそう見える。

国際秩序と民主主義制度を否定しようとする中国に対し、NATOも一致団結するようになってきた。アメリカは最近、スパイ行為を行った中国人外交官2人を国外追放しているし、スウェーデンにも同様な動きが見られる。一方、「スパイ天国・東京」を中国の諜報関係者が闊歩し、中国系ビジネスマンたちは自衛隊駐屯地付近の土地を買いあさるが、日本の治安当局は沈黙を保ち続けている。世界一優秀と評価されていた日本の官僚や公務員たちの人事権が首相官邸に握られたからである。

「地獄を見ない限り、日本人は覚醒しないだろう」と、米シンクタンクの友人は吐き捨てて帰国の途に就いた。

<本誌2019年12月31日/2020年1月7日号掲載>

【参考記事】トランプ不信で接近する日本と中国
【参考記事】習近平を国賓として招聘すべきではない――尖閣諸島問題

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2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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