コラム

【人生相談】「サンタを信じているふりをして」と子持ちの友人に言われました

2019年12月24日(火)18時30分

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<「信じてない」と子供相手に回答する私は理不尽? 小説家ルマーン・アラムがお答えします>

Q:私は子供のいない(気楽な)20代ですが、子持ちの友達の育児話にも、延々見せられる子供の写真にも喜んで付き合っています。クリスマスには子供たちに贈り物をするけれど、私はユダヤ教徒。彼らがサンタについて話す年齢になり、落ち着かない気分です。キリスト教に迫害されてきた立場としては、キリスト教の伝統を信じているふりなどしたくありません。これまでは、サンタを信じてる? と子供から聞かれたら、こう答えていました。「私は信じてないけれど、あなたは信じて構わないよ。世界にはいろんな人が祝うさまざまな祝日があるんだから」

でも昨年、友人からメールが。子供たちの「クリスマスを台無しに」しないために、サンタを信じているふりをしてほしい、って。私の心情をどうすれば分かってもらえるでしょうか? 私は理不尽ですか?

── 意地悪ちゃん

A:サンタを信じるふりをするのは自分の信仰に反する、と感じるのは、あなたの素直な思いです。いいシナリオを考えましたよ。子供たちとこんな話をしてはどうでしょう。「お姉ちゃん、サンタさんはいると思う?」「さあ。あなたはどう思う?」「お姉ちゃんはどう思うの?」「どうかなあ。で、今年は何をもらうの?」「だからさ、サンタさんって本当にいるの?」「どうかしら。でも、今年は自転車をもらえるといいね!」

これまでのあなたは、子供の質問を額面どおりに受け取って答えるという失態を犯してきました。子供は大人の考えなんか気にしません。いつだって彼らは自分の話をしたいだけなんです。質問をあしらえば、自分に嘘をつく必要もないし、友人から怒られることもないでしょう。

とぼけることさえできないとしたら、それこそあなたは理不尽です。子供に早々に現実を教えることが、知性や宗教の勝利になるわけではありません。あなたは大人であり、時には意見を胸にしまっておくことが必要なこともお分かりのはずです。

── ルマーン・アラム(小説家)

©2019 The Slate Group

<2019年12月10日号掲載>

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