コラム

これからのウェアラブルデバイスの一つの方向性を示唆する:Bragi Dash

2016年05月13日(金)16時10分

 若い消費者の間では、ヘッドフォン/イヤフォンはライフスタイル製品であると同時に、ほぼ必需品的な様相も見せている。したがって、こうした製品に生体センサなどを内蔵してインテリジェント性を持たせるのは自然な流れといえ、この分野のプロダクトを開発・販売しているビーツを、購読型の音楽サービス(限Apple Music)と共に買収したのも、将来的な展開への布石とも思えるのだ。

これからのウェアラブルデバイスの方向性を示唆している

 そして、それを先取りしたかのような製品が、今回採り上げた完全ワイヤレスなドイツのスマートイヤフォン、Bragi Dashである。

 Dashは、インナーイヤータイプのコンパクトな筐体の中に、Bluetoothイヤフォン機能をはじめ、3軸加速度センサー、角度センサー、磁気センサー、操作用タッチセンサー、通話機能(マイクは骨伝導タイプ)、ノイズキャンセル機能(周辺音の透過率を設定可能)などを内蔵。心拍数や歩数、運動時間などの計測結果を、英語の音声でリアルタイムに知らせてくれる。また、4GBの内蔵メモリに楽曲データを転送することができ、1m防水機能とあいまって、水泳時などにも単体での音楽再生が可能なのだ。

 コントロール系も、耳に装着するだけで自動でスリープが解除され、母艦となるスマートデバイスとのBluetooth接続が行われたり、音量調整やノイズキャンセルのオン/オフ、通話の開始/終了などの操作をすべて表面のタッチやスワイプで行えるように考え抜かれている。そして、ソフト的なアップデートによって、音質やユーザー体験が改善されていくという、従来のヘッドフォン/イヤフォンではほとんど見られなかった特徴もある。

bragi_dash_black_phone.jpg

母艦となるスマートデバイスとの接続も考え抜かれている

dash_front_back.jpg

3軸加速度センサー、角度センサー、磁気センサー、操作用タッチセンサー、通話機能、ノイズキャンセル機能などを内蔵

 フル充電状態から使用できる時間は3時間ほどだが、付属のケースにバッテリーが内蔵されていて、収納中は自動的に充電が行われる仕組みだ。

 実際に使ってみると、完全にケーブルから解放された状態で、イヤピース側から音楽再生の各種操作やフィジカルデータの取得ができるのは便利このうえない。Dashは、これからのウェアラブルデバイスの一つの方向性を示唆しているといってよいだろう。

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ住民に避難促す 地上攻撃準備か

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月も50超え1年ぶり高水準 

ビジネス

独サービスPMI、4月53.2に上昇 受注好調で6

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story