コラム

女性はなぜ「リスクを取る勇気」がないのか/gravitate towards(引き寄せられる)

2017年02月14日(火)12時07分

www.ted.comより


【今週のTED Talk動画】Teach girls bravery, not perfection
http://www.ted.com/talks/reshma_saujani_teach_girls_bravery_not_perfection

登壇者:レシュマ・サウジャニ

人口の約50%を占めるにもかかわらず、技術職から企業幹部、議員まで、あらゆる分野で活躍している女性は圧倒的に少ないのが現実だ。このTEDトークでは、若い女性にコンピュータープログラミングを教える組織を創立したレシュマ・サウジャニ氏が、男女格差への対策について紹介している。

彼女の考察によれば、格差の原因は女性と男性の育ち方の違いにあるという。男性はリスクを取るように育てられる一方、女性は完璧さを追求して安全な道を選ぶよう教えられ育てられている。その結果、キャリアのこととなると、女性はリスクを取らないために取り残される。要するに、女性はキャリア昇進に必要となる"リスクを取る勇気"を十分に兼ね備えていないということだ。

立候補して選挙に出た自らの経験をはじめ、この現象について様々な例を紹介しているこのサウジャニ氏の主張には、それだけの説得力があると言える。このTEDトークは、女性をどのように育てればよいかを考えさせられるトークとなっている。

【参考記事】女性を男性の基準で評価することが男女平等ではない/champion(擁護する)

キーフレーズ解説

gravitate towards
~の引力に引き寄せられる
(動画2:25より)

物理学では一般に、重力のあるものは周りのものを引きつけることが知られています。この概念に基づけば、人があるものに引き寄せられるのは、それが何らかの魅力を持っているからだと考えられます。要するに、人はそのものに引き寄せられ近づくために、ほかの選択肢を置いてそれを選ぶ傾向にあるということです。

ここではtowardsの代わりにtoも使われていますが、両者は同じ意味を持っています。このTEDトークでサウジャニ氏は、多くの女性は自分が必ず上手くこなすことができる職務にgravitate towardsしていると言います。

ここでいくつかこの表現を用いた例を紹介します:

●Many students gravitate toward consulting due to the high salaries.
(高い給料のため、多くの学生が〔就職活動をする時に〕コンサルティングに引き寄せられている)

●People are starting to gravitate to rural areas to escape urban crowding.
(混雑した都会から逃げ出すために、地方に行く人が増えはじめている)

●Dinner conversations in our household always tend to gravitate to politics.
(わが家での夕食時の会話はいつもなんとなく政治の話題になる傾向にある)

【参考記事】育児や介護から仕事に復帰する方法/Come to the table with(~を提供する)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story