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英王室がサインをしない理由

2022年06月29日(水)17時10分
田中ゆう

Ashley Crowden/Pool via REUTERS

<王室メンバーに課される「サイン禁止令」は、王室が一般人に会う際に定められた、最も古い規則のひとつ。しかしこのルールを破った人物がいるのも事実だ...>

世界中の多くの人が、イギリス王室のメンバーにお目にかかるチャンスを望むが、王室と接触する際にはいくつかのルールが存在する。王室をセレブリティの一種として見做されるムードが高まるなか、ハリウッドスターはするのに、王室がはしない、というものがある。

代表的なものが、「サイン」だ。王室メンバーは群がる人々に対し、手を振ったり笑顔を返すが、サインはしない。かたやハリウッドスターや有名シンガーたちは、サインを求められたらスマホにだってTシャツにだってしてくれる。

なぜ、王室メンバーはサインをしないのか?

王室がサインをしない理由

実は、王室メンバーに課される「サイン禁止令」は、王室が一般人に会う際に定められた、最も古い規則のひとつ。オンラインメディアが発達し、若い王室メンバー個人が発信したり影響力を増すにつれ、サイン禁止令は立ちゆかなくなってきた。

そもそもサインを禁じる理由は、王室のサインを出すと贋作が生まれる恐れがあるためだ。王室のサインをオンラインで購入することは可能だが、それらのほとんどは、すでに亡くなっている故人か、王室を去った親族のものという。立場が曖昧で騒動の渦中にあるヘンリー王子や第一線で活躍するキャサリン妃のような人物のサインは、極めて稀だ。

掟破りのメーガン妃

しかしこのルールを破った人物がいるのも事実だ。2018年、当時まだ婚約者だったメーガン・マークルはヘンリー王子とともに、ロンドンから電車で2時間半ほどの距離にあるウェールズの首都カーディフを訪れていた。

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2016年末に婚約が報じられたヘンリー王子とメーガン YouTube/(c)E! News

ヘンリー王子とメーガンが集まった人たちに挨拶する間、メーガンはある若い女の子に話しかけた。すると、その子はメーガンにペンと紙を差し出し、メーガンはサインをした。ただ、それは普通のサインとは少し違うものだった。

メーガンは自分の名前にサインする代わりに、「ハイ、ケイトリン、K」」と書いたのだ。

これをヘンリー王子夫妻の失態だと指摘する声もあるかもしれないが、一般人に何かサインをしたのはメーガンだけではない。2010年にチャールズ皇太子は、南西端の街コーンウォールでの洪水被害者を見舞った際、被災者に求められサインをした。

自撮りも禁止

王室が一般人と接する際に守らなければならないルールは、サイン禁止令だけではない。王室メンバーは、「自撮り(セルフィー)」も禁止されている。

目的は、王室との写真撮影に人が殺到するのを避けるためであったり、一般人が王族に背を向けてはならないという古くからのマナーに従って、など、このルールが存在する理由は諸説あるようだ。

しかし、月日は流れ、このルールはどんどん緩くなってきている。ウィリアム王子夫妻、ヘンリー王子夫妻など、若い王室メンバーもセルフィーに応じるようになった

事故的なケースもある。2014年のコモンウェルスゲームでオーストラリアの女の子2人組が撮ったセルフィーに意図せずして紛れ込んでしまったエリザベス女王など、他の王室メンバーも図らずも、一般人のセルフィーに写ってしまったことがある。


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