日本人は「わが街」を愛する気持ちを失ったのか? 治安悪化の一因にも
それなのに、返礼品に釣られてふるさと納税し、自分の生活する街にその分だけ納税しない人がこんなにもいるなんて、外国人の友人に話してもなかなか信じてもらえない。
確かに、大都市と地方の税収格差は問題だろう。それならば、目に見える返礼品がなくても、生まれ故郷に納税する、縁もゆかりもなくても素晴らしく運営されている地方自治体に称賛の意味で納税する、というのであれば理解もできるのだが。
たとえ進学や就職のために出てきた都会であっても、毎日寝起きし、言葉を交わさずとも顔を合わせる人がいて、税金を払って生活するのだから、人とコミュニティーは運命共同体である。コミュニティーの治安が悪化すれば自分の身に危険が及ぶかもしれないし、コミュニティーの評判が上がれば住民も得をする。
だから、困窮している人でも孤立している人でも外国人でも、コミュニティーの一員として迎える姿勢を持ちたいものだ。
どの街も、そこに暮らす人にとっての「愛するわが街」であってほしいと思う。安全で清潔で住みやすい日本社会は、コミュニティーを大事にする市井の人々の努力の上に成り立っているのだから。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran
2024年6月4日号(5月28日発売)は「イラン大統領墜落死の衝撃」特集。強硬派ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える グレン・カール(元CIA工作員)
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