コラム

AIはどこまで進んだか?──AI関連10の有望技術と市場成熟度予測

2017年03月02日(木)15時20分

世界の最先端を走るMicrosoftの研究者たちであっても「ここまで精度を上げることができるなんて5年前には想像もできなかった」と語っているほど、進化が速いからだ。

Forresterのグラフによると、音声認識技術は今後3年から5年で、市場の拡大期に入る見通しという。

■画像・動画解析

ディープラーニングは今後いろいろな領域で利用されることになると言われているが、中でも最初に大きな成果を上げたのが画像解析の領域。ディープラーニングを使った画像・動画解析サービスが世界中で次々と登場している。

Forresterによると、画像・動画解析は、今後1年から3年で市場拡大期に入る見通しという。

下の動画は、スイスに本社を置くViDi社の動画解析技術の応用例。アパレルの生地の不良品の検出や、医療用機器のネジの欠損検出、スポーツ選手の動きの解析など、いろいろな領域での利用が始まっていることが分かる。


■バイオメトリクス

バイオメトリクスは、顔認証、指紋認証などいろいろなツールがあるが、個人的に注目しているのがマイクロエクスプレッション。顔の筋肉の動きから、感情を読み取る技術だ。口で何を言っても、顔のわずかな筋肉の動きで、その人の本心が分かるという技術。AIによる嘘発見器のような使われ方も可能だ。

米国では、映画館でCMを流し、スクリーンの上に設置されたカメラで客の表情を撮影。それをマイクロエクスプレッションの技術で解析して、CMに対する客の感情を読み取ろうという試みが始まっている。またビデオチャットアプリで同技術を使い、話している相手が楽しんでいるのか、退屈しているのか、などといった感情を解析できるようにもなっている。

Forresterのグラフによると、バイオメトリクスはまだ黎明期だが、あと3年から5年で市場の拡大期に入る見通しだという。

■自然言語生成

データから文章を作成するという技術。

自然言語生成に関しては幾つかのベンチャー企業が生まれているが、その中の代表的な企業であるAutomated Insigts社という米国の企業を、2年前に取材したことがある。

その当時の主な用途は、金融レポートとスポーツ記事の自動生成だった。株価などのデータを入力すると、株価情報のレポートが出力される。スポーツのスコアなどのデータを入力すると、新聞のスポーツ欄の記事が自動生成される。そんなツールだった。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ率低下、持続可能かの判断は時期尚早=ジェフ

ワールド

ウクライナ、北東部国境の町の6割を死守 激しい市街

ビジネス

インフレ指標に失望、当面引き締め政策が必要=バーF

ビジネス

物価目標達成に向けた確信「時間かかる」=米アトラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『悪は存在しない』のあの20分間

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 5

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story