コラム

瞑想アプリからブレインインターフェイスまで、投資家が選ぶTransTech製品ベスト4

2020年01月21日(火)12時55分

The Transformative Technology Conference-YouTube

<宣伝なしで1200万人のユーザーを獲得した瞑想アプリや、脳内細胞の活性化によって認知症予防が期待できるヘッドギアなど、悟りやメンタルヘルスのための製品とベンチャー企業を紹介>

エクサウィザーズ AI新聞(1月19日付)から転載

TransTech Conference2019に登壇した投資家がイチオシの製品やベンチャー企業について語っている。まったく宣伝していないのに1000万人以上のユーザーがいる瞑想アプリや、脳とコンピューターを直接つなぐヒューマン・マシン・インターフェースの話が飛び出した。彼らの話を聞いていると、日本に比べると、米国のほうがヘルスケア、特にメンタルヘルスのケアに気を使っている人が多いような印象を受けた。

The Transformative Technology Conference-YouTube


またカンファレンスに参加した人たちの話を聞いていると、TransTechという言葉の定義が人によって微妙に違うように感じる。カンファレンスの主催者はTransTechを「人類を進歩させる技術」と定義し、特にブレインテックやヘルステックなど広範囲の技術のことを指しているようだ。一方で、インドの民族衣装を身に纏ったり、ヒッピーっぽいファッションで参加している人たちは、TransTechを「悟りに向かうための技術」として定義しているようだった。おもしろかったのは、ヒッピーのようないでたちをしていても博士号を持っている人が多かったということ。人は見かけによらないw。

しかし参加者の大多数は、主催者が提唱する広義の定義とヒッピー系の狭義の定義の真ん中に位置し、瞑想に関する技術やメンタルヘルスに関する技術というような定義でTransTechという言葉を使っているようだった。

さて4人の投資家が選んだイチオシTransTech製品、企業は次の通り。

Insight Timer

ベンチャーキャピタルBridge Builders Collaborative社のCharlie Hartwell氏イチオシの瞑想アプリ。瞑想ガイダンスや、瞑想音楽のプラットフォームになっており、全世界127カ国に計1200万人ユーザーがいるという。同氏によると、まったく広告、宣伝なしに、これだけのユーザーを集めているという。各種瞑想アプリのユーザーに対するアンケート調査でも、Insight Timerを使っている人のほうが、ほかの瞑想アプリを使っている人よりも長く瞑想を楽しんでいるという結果が出ているという。Insight TimerのCEOのChristopher Plowman氏は「正直、私たちもなぜだか分からないんです。でも何かがあるんだと思います」としている。

Yukawa200120_5.jpg

Insight Timerホームページより


このプラットフォーム上には5500人以上の瞑想のインストラクターやミュージシャンが登録しており、彼らが作った瞑想音声ガイダンスや瞑想音楽が3万2000曲登録されている。幅広い選択肢の中から、自分に合ったものを見つけ出せるのが、人気の秘密なんだろうか。

「日本」というキーワードで検索すると、日本人インストラクターの作った瞑想ガイダンスがいくつか表示された。

最初は無料登録して無料で使えるコンテンツを使ってみて、このアプリが気に入れば年間6800円を寄付として支払う形。収益の50%はインストラクターに支払われるという。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スズキ、今期収益は過去最高予想 インドなど四輪販売

ワールド

米中が初のAI協議、14日にジュネーブで リスク緩

ビジネス

あおぞら銀、大和証券G本社が520億円出資 業績悪

ワールド

イスラエル軍、ガザ最大の難民キャンプとラファへの攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story