コラム

ソフトバンクの激しすぎるV字回復...新時代についていけない企業は淘汰される

2021年05月25日(火)21時24分

近年はITの高度な発達でイノベーションが急加速しており、基礎技術をじっくりと育て、応用に向けて試行錯誤を繰り返すという従来型の研究開発は時代に合わなくなっている。新しい技術の発掘とビジネスへの応用を同時に進めなければライバルに打ち勝てないので、新技術を持つ発足直後の企業に巨額の投資資金が集まることも珍しくない。

同社はこうした新技術への投資をシステマティックに行っている企業と解釈することができ、今後は一般的な事業会社も多かれ少なかれ、似たようなオペレーションが求められることになる。

だが、企業の研究開発や先行投資の在り方が劇的に変わっていることは、新しいパラダイムにシフトできた企業とそうでない企業の格差を拡大させる作用をもたらす。

このところ、コロナ危機であるにもかかわらず、ハイテク企業を中心に世界的な株高となっているが、この背景には、金余りといった金融面での事情だけでなく、イノベーションの急加速によるビジネスモデルの変化という産業的な要因も絡んでいる。

株価指数は上昇しているが、指数はあくまで平均値であり、顕著に上昇した企業とそうでない企業には大きな差がついている。一連の株価の違いは期待収益の違いを示しており、同社の圧倒的な決算は企業社会の近未来像と言える。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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