コラム

韓国における新型コロナワクチン接種が加速、接種開始7日目で累計接種者数が22.5万人を超える

2021年03月05日(金)21時11分
韓国ソウルで新型コロナウイルスのワクチン接種を待つ医療従事者

韓国ソウルの国立ワクチンセンターで接種の順番を待つ医療従事者(2月27日) Song Kyung-Seok/REUTERS

<日本はワクチン接種のスピードを加速し、東京五輪を実現すべきだ。 そのために、韓国が量産する特殊注射器が役に立てる>

*このコラムの内容は筆者個人の見解で、所属する組織とは関係ありません。

韓国における新型コロナワクチンの接種が進んでいる。2月26日から新型コロナワクチンの接種を始めた韓国では、3月5日0時現在まで累計225,853人(アストラゼネカ221,944人、ファイザー3,909人)に対してワクチンの1次接種が行われた。3月4日の1日の接種者数は67,153人で、2月17日から接種を始めた日本の累計接種者39,174人(3月4日現在)を大きく上回っている状態だ。

■日韓における新型コロナワクチンの予防接種の実績(累計)
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出所)日本:厚生労働省ホームページ「新型コロナワクチンの接種実態」(2021年3月4日17時基準)、韓国:中央防疫対策本部ホームページ「予防接種実績総現況」(2021年3月5日0時基準)

韓国の新型コロナワクチンの接種者数を地域別にみると、京畿が19,336人で最も多く、次いでソウル(9,355人)、慶南(5,859人)、仁川(4,900人)の順であった。京畿の接種者数が多い理由としては、人口や療養病院が他の地域より多いことが挙げられる。現在、韓国ではウイルス感染者の治療病院における医療従事者、療養病院、療養施設に入院・入所している65歳未満*の患者および医療従事者などに優先的にワクチンの接種が行われている。

*韓国政府は65歳以上高齢者の臨床データがまだ不十分だと判断し、当面の間は接種対象を65歳未満にする方針である。

■韓国における地域別新型コロナウイルスワクチンの予防接種の実績(累計)
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出所)韓国:中央防疫対策本部ホームページ「予防接種実績総現況」(2021年3月5日0時基準)

韓国における新型コロナウイルスワクチンの対象者別接種時期(案)
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出所)韓国:中央防疫対策本部ホームページ「新型コロナウイルスワクチンの対象者別接種時期(案)

韓国政府は2月末現在、国立中央医療院の中央予防接種センターを含めて全国に5カ所の「予防接種センター」を設けてワクチンの接種を実施しており、今後は「予防接種センター」を全国に250カ所(3月には21カ所に、5月以降は250カ所に)まで増やす計画である。

では、なぜ韓国では日本を上回るスピードでワクチン接種が行われているだろうか。その理由は大きく3つある。1つ目の理由は、現時点で韓国におけるワクチンの供給量が日本よりも多いことだ。日本では3月4日現在米ファイザー社のワクチンだけが承認・供給されているのに比べて、韓国では米ファイザー社(2月3日特例収入承認)と英アストラゼネカ(2月10日許可)2社のワクチンが供給されており、供給量の差が生まれているのだ。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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