コラム

禁断の「Nワード」発言でもトランプ支持層は揺るがない

2018年08月25日(土)11時00分

第3に、トランプ政権は途方もなく無能で混乱している。政権側は、ホワイトハウスの作戦司令室で録音が行われたことの違法性を問題にしている。しかし、そもそも録音できたこと自体がホワイトハウスのセキュリティー体制のずさんさを浮き彫りにしている。

第4に、このような実態が明らかになっても、トランプの支持率が急落することはなさそうだ。トランプには、有権者の35~40%の岩盤支持層がある。ぞっとする話だが、トランプが禁断の「Nワード」を口にした会話の録音が公開されたとしても、彼らのかなりの割合は問題と感じないかもしれない。

これまでもトランプは、障害者をあざ笑い、女性へのわいせつ行為を自慢し、政敵への攻撃を外国勢力に公然と頼み、独立したメディアを「人民の敵」と呼んできた。オバマ前政権から引き継いだ経済が好調を保っていることを考えると、トランプが何をしても支持者が減ることはなさそうにみえる。

一方、アフリカ系アメリカ人たちとの関係も変わりそうにない。トランプとアフリカ系アメリカ人コミュニティーの関係は、とっくに冷え切っている。

とはいえ、実際に「Nワード」のテープが公開されれば、わいせつ行為を自慢した発言が暴露されたときのように、メディアの追及と批判が強まることは間違いない。

<本誌2018年8月28日号掲載>

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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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