最新記事

韓国社会

受験地獄、大学で終わらない韓国 企業面接で「AI」に高評価されるための講座がブーム

2020年2月19日(水)19時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

近い将来、韓国企業の人事部のボスはAIになる? iStockpohoto

<20代の失業率が日本の2倍以上という韓国では、就職試験向けの受験講座が盛ん。これらの予備校が今、力を入れているのがAIによる採用試験への対策講座だ>

企業の採用面接は、短時間で相手の人柄や能力を見極めなければならない難しい作業だ。もちろん入社を希望する側にとっても、これからの人生を左右する大事な一大イベントといえるだろう。しかし、今後はその大事な採用不採用の判断をAIが選別する時代が来る。

実際、韓国では、昨年の下半期185社(AI力量検査システム開発会社調べ)にも上る韓国企業で、AIによる面接が採用されている。さらに2020年には300以上の企業がAI導入すると見込まれている。これに伴い、韓国ではAI面接への対策ビジネスが大きな注目を集めている。

AIが行う面接、何が違う?

AI面接は、一般の入社面接と一体どこが違うのだろうか。企業側のAI面接での利点は大きく2つ「客観性」と「費用削減」だという。有名大手企業になると、数人採用予定の狭き門に多くの応募者が殺到する。AI面接はこのすべてを最終審査までAIが決めてしまうわけではなく、第一段階のふるいに掛ける作業をAIが行い、膨大な量の履歴書を客観的に選別することで、そこに掛ける人件費も削減できるというわけだ。今後、最終面接までもAIが行う世界が来るかもしれないが、今の段階ではAIの第一次審査を通過したものが、次の役員面接に進めるシステムを採っている会社がほとんどだという。

一般的に入社試験と言えば、エントリーシートや履歴書を記入し応募した後、筆記テストや面接などを経て、結果が決まるケースがこれまでの流れだった。しかし、AI面接では、入社希望者が自己紹介などの映像をスマートフォンなどで自撮り撮影して送るところから始まる。さらにアンケートや職務適合テストをコンピューターが総合評価して該当企業に相応しい人材を選ぶ方式だという。

では、AIの選別能力はどのようにして学習させたのかというと、答えは簡単だ。適合テストなどはその解答データを、面接は、人事採用の専門家100人に様々な人の面接映像を見せ、その中で評価の高かった人の面接映像と音声データを教え込ませた。なかでも一番大事なのは、しゃべり方と声だという。AIは声と発音、表情、視線、話すスピードなどを総合的に判断する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」=

ビジネス

中国BYD、メキシコでハイブリッド・ピックアップを

ワールド

原油先物は上昇、カナダ山火事と米在庫減少予想で

ワールド

プーチン大統領の5期目初訪中、西側へ対抗を確認へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中