最新記事

韓国社会

受験地獄、大学で終わらない韓国 企業面接で「AI」に高評価されるための講座がブーム

2020年2月19日(水)19時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

AI対策セミナーが人気に

面接へのAI導入のニュースが広まると、対策セミナーなどが次々と登場するようになった。これまでも、面接対策の塾や講義は多く存在したが、多くの面接用スピーキング塾がAI対策クラスを設けている。カテゴリーの中には、発音・発声方法はもちろん、AIに好まれる表情づくりや模範解答などもあるようだ。

韓国はIT強国だけあって、面接のためのオンライン講義も充実している。もちろん、AI面接に関しての講義もここ数年で数多く登場した。多様な授業を行っているオンライン講義サイトeducastでは、実際にAI面接を採用している企業の現役人事担当者が顔出ししないことを条件に講師として対策を教えている。料金は約3時間半の講義で57,500ウォン(約4,400円)だ。

筆者が実際に5分間のお試し動画を見たところ、質疑応答の例や話しているときに視線はどこを向くべきか、化粧はどうするべきか等、その内容は相手がAIになっただけで、人間の面接対策と似ている。ただ、それがコンピューターに気に入られるための内容だということを考えると奇妙な気分になった。

AI面接模試はAIが採点

講師によれば、3つの必須質問があり、これは大体どの企業のAIも訪ねてくる内容なのだという。詳しくは公表していなかったが、よくある「自己紹介」や「志望動機」などだろう。そして、その後「シチュエーション型質問」があるという。

例えば男性に「デート中レストランで食事が済み、お会計の場面で財布を忘れてきてしまった。デート相手になんと説明するか、実際に横に相手がいると想定して演技してみてください」など、その人の人間性が分かるような質問が出されるという。AIがこのような人間くさい状況の回答をどう判断しているのか気になるところだ。

講義でAI面接について学んだら、次は実践あるのみである。一般的な面接でも行うようにAI用の模擬面接も登場した。サラムインHR社が発表したスマートフォン用アプリ「アイアムグラウンド」は、模擬面接動画を撮影して送信すると、AIが表情・声・発音・速度など8つの要素を判断し評価をレポートしてくれる。AI面接対策をコーチしてくれるのもまたAI搭載のアプリなのだ。確かに、AIのことはAIに聞くのが一番なのかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

円が対ドルで急上昇、円買い介入と市場関係者

ワールド

北朝鮮が米国批判、ウクライナへの長距離ミサイル供与

ワールド

北朝鮮、宇宙偵察能力強化任務「予定通り遂行」と表明

ワールド

北朝鮮、「米が人権問題を政治利用」と非難
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中