最新記事

インタビュー

話題のモンテッソーリ教育を、家庭で実践する秘訣

2017年7月31日(月)12時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Yagi-Studio-iStock.

<中学生プロ棋士、藤井四段の活躍で注目を集めるモンテッソーリ教育の特徴とは? モンテッソーリ教育をベースに独自の子育てメソッドを確立し、2人の子供を東大生と早大生に育てた楠本佳子氏に聞いた>

史上最年少の14歳2カ月でプロ将棋棋士となり、デビュー戦以来、公式戦の連勝記録を30年ぶりに更新した藤井聡太四段。まだ中学生とは思えない集中力と落ち着きぶりに、同世代以下の子供をもつ親ならば「どうすれば、こんな子供に育てられるのか?」という興味も湧くだろう。

そこで注目され始めているのが、藤井四段も幼稚園時代に受けたという「モンテッソーリ教育」だ。20世紀初頭、イタリアで最初期の女性医学博士となったマリア・モンテッソーリが構築した教育法で、子供の自立心を育むとして世界中で取り入れられている。

モンテッソーリ教育を受けた著名人は多く、バラク・オバマ元米大統領を筆頭に、「マネジメントの父」ことピーター・ドラッカーや、イギリス王室のウィリアム王子とヘンリー王子、そして当然、ウィリアム王子の長男ジョージ王子も学んでいるという。

だが、もっと注目すべきは次の名前だ――ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン(グーグル創業者)、ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)、ジミー・ウェールズ(ウィキペディア共同創始者)。

世界を変えるイノベーションを起こした起業家たちも学んでいたという事実から、モンテッソーリ教育は自立心を育てるだけでなく、新しい発想を生み、それを実現する力をも養えるとして、にわかに脚光を浴びている。

そこで、話題の育児書『12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣』(CCCメディアハウス)の著者である楠本佳子氏に、モンテッソーリ教育の要点と、家庭で実践する方法について話を聞いた。2人の子供を東大生と早大生に育てた楠本氏の子育てメソッドも、やはりモンテッソーリ教育がベースにあるという。

――モンテッソーリ教育との出合いは?

実は私も、もともとはモンテッソーリ教育なんてまったく知りませんでした。夫の転勤で引っ越した先で、当時3歳だった娘を近所の幼稚園に入れたところ、たまたまモンテッソーリ教育を取り入れていたのです。

衝撃を受けたのは参観日です。その幼稚園では、年少から年長までが広いひとつの部屋にいたのですが、「おしごと」と呼ばれる作業時間になると、丸1時間、だれひとり一言もしゃべらないのです。先生方も一言も発しません。

部屋には「教具」と呼ばれるおもちゃがたくさん置いてあって、子供たちは自分が好きなもので遊んでいいのですが、なかには、やり方がわからないものもあります。そんな場合でも、先生は一切しゃべらずに教えます。身振り手振りではなく、先生が実際にやる動きをじっと見させるのです。

こんなに小さな子供が大勢いて、だれも一言もしゃべらないなんてことが可能なのか!と、とにかく衝撃的な光景でした。将棋の藤井四段は集中力がすごいと言われていますが、こうした時間を小さいうちに経験したことが、その秘密かもしれません。

【参考記事】東大生に育てたいなら、子供を「他人」と思いなさい

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中