最新記事

キャリア

齋藤孝が実践する「知的生産(知的なインプット+アウトプット)」の秘密

2020年3月23日(月)11時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

metamorworks-iStock.

<アウトプットが重要と言われるが、何をインプットし、どうアウトプットすればいいかは難しい。メディアでも活躍する明治大学教授の齋藤孝氏が「すぐにアウトプットする3つの方法」「知的な素材集めのための6つの方法」など具体的なコツを伝授する>

出版界はいま「アウトプット流行り」だ。結果を出すにはアウトプットが重要だと謳うビジネス書が、ここ数年、多く出版されてきた。

ビジネス書のトレンドに詳しい書籍要約サービス「フライヤー」のプロモーションマネージャー、井手琢人氏は「18年3月に発売されてベストセラーになった『1分で話せ』以降、アウトプット関連書籍が増えている」と、日経クロストレンドの取材に答えている。

「パンパンになった知識や情報を具体的にどう生かしたらいいかと考える人が多いようだ」

実際に得た知識をどうアウトプットしていいか分からない――。確かに、そういう人は今でも多そうだ。

そもそも、膨大な情報の中から、どのように「知的な情報」をインプットするかが分からない、という声も聞かれる。インプットとアウトプットはセットだし、インプットする情報が何でもいいわけでないことは、誰もが分かっている。
book20200323chiteki-cover200.jpg
仕事をする上でも、勉強をする上でも欠かすことのできない、インプットとアウトプット。それらを自在に操り、成果を挙げ続けているのが、ベストセラー作家、文化人としてメディアで活躍する明治大学教授の齋藤孝氏だ。

インプット力・アウトプット力について教えを乞う相手として、これ以上ない人物だろう。

その齋藤氏が日々、多くの情報からどのように知的な情報をインプットし、どのように知的なアウトプットに変えているかを著したのが、新刊『知的生産力』(CCCメディアハウス)。齋藤氏自身の実践を基に、今の時代――氏曰く「インプットとアウトプットが入り乱れる時代」――に必要な「知力」の上げ方を具体的に記した1冊だ。

知識を役立てられないのは、アウトプットの回路がないから

そもそも、本書の書名に掲げられた「知的生産」とはどういうものだろうか。

齋藤氏によると、知的生産とは「知的情報を生産すること」であり、新しさ、意外性、気づきを分かりやすく伝えることだという。そして、そのアウトプットに触れた人が、満足できる、勉強になると判断できる情報であることが大切だ。

アウトプットを知的にするために必要なのは、知的な素材、題材、テーマを選ぶこと。

例えば、職場の朝礼のスピーチで、自分の身の周りの出来事をとりとめもなく話したところで、それを聞いた人は「勉強になった」とは思わないだろう。

しかし、スピーチの題材の知的レベル、教養レベルが高ければ、伝え方がつたなかったとしても、アウトプットを知的にすることができる。知的生産の基本は、インプットした知的な情報をアレンジして、分かりやすくアウトプットすることなのだ。

そうは言っても、「学んだ知識を役立てることができない」「本を読んでもすぐに忘れてしまう」といった経験をしている人は少なくないだろう。齋藤氏によれば、その原因のひとつは「アウトプットの回路ができていない」ことにある。

インプットした情報は、「読む、書く(描く)、話す」ことによって、血肉に変わる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、20万8000件と横ばい 4月

ビジネス

米貿易赤字、3月は0.1%減の694億ドル 輸出入

ワールド

ウクライナ戦争すぐに終結の公算小さい=米国家情報長

ワールド

ロシア、北朝鮮に石油精製品を輸出 制裁違反の規模か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中