最新記事

心理

アプリ加工した自撮りの顔になりたい......美容整形も辞さない「スナチャ異形症」

The “Snapchat Effect“

2018年11月01日(木)16時00分
スコッティ・アンドルー

ソーシャルメディアと写真加工アプリが「現実にはあり得ない美」の欲望をあおる TARA MOOREーTAXI/GETTY IMAGES

<周囲と自分を比べ、外見をバーチャルに加工して他人の承認を渇望する。SNSを「中毒性の鏡」と指摘する専門家も>

写真共有アプリのスナップチャットや顔写真加工アプリのフェイスチューンは若い世代になくてはならないツールだが、危険なトレンドを生んでいるかもしれない。過剰にデジタル加工した自分の外見を、現実より好む若者が増えているのだ。

ボストン大学の皮膚科学の研究チームが米国医師会の顔面美容整形専門誌に発表した論説によると、美容整形医の55%が、自撮り写真の見栄えをよくするために顔の施術を希望する患者がいると報告している。ソーシャルメディアと写真加工アプリが生んだ、現実には達成不可能な美しさを追い求める「スナップチャット異形症」だ。

【参考記事】イタイ「自撮り」に隠された本音 他に手段のない女性たち

従来の美容整形は、セレブの顔に似せたい人が多かった。しかし、写真加工アプリを使えば誰でも簡単に自分をセレブに似せたり、均整の取れた顔に修正したりできるようになった。

そこで最近は、鼻筋を細く、目を大きく、唇を分厚く加工した画像に、実物を似せようとする人が増えている。「加工した自撮り写真は実現不可能なものが多く、現実と空想の境が曖昧になっている危険な傾向だ」と、研究チームは指摘する。

17年にアメリカで実施された美容整形手術(プチ整形を含む)は1750万件で、前年比2%増。豊胸、脂肪吸引、鼻の整形の順に多いが、最近特に増えているのが左右非対称の鼻や顔を修正する施術だ。

15年の調査によると、加工アプリを使っている10代の女性は自分の外見に不満を持ちやすく、体重や体形を実際より太めに評価して食事を制限しがちだ。

【参考記事】「誰かに認められたい」10代の少女たちの危うい心理

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとウクライナの化学兵器使用、立証されていない

ビジネス

FRB、年内は金利据え置きの可能性=ミネアポリス連

ワールド

米、イスラエルへの兵器出荷一部差し止め 政治圧力か

ワールド

反ユダヤ主義の高まりを警告、バイデン氏 ホロコース
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    「ハイヒールが効率的な歩行に役立つ」という最新研究

  • 2

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 3

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 4

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 5

    「見せたら駄目」──なぜ女性の「バストトップ」を社…

  • 1

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 5

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:岸田のホンネ

特集:岸田のホンネ

2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」