最新記事

EU

欧州各国が離脱の危機 ユーロ崩壊6つのヘッジ戦略案

2017年3月7日(火)08時40分

3月3日、ユーロ圏ではフランス、ギリシャ、イタリアで政治・金融情勢が不安定化し、いずれユーロの離脱、ひいては崩壊につながりかねないとの懸念も生じている。写真はユーロの記号。独フランクフルトで昨年1月撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

ユーロ圏ではフランス、ギリシャ、イタリアで政治・金融情勢が不安定化し、いずれユーロの離脱、ひいては崩壊につながりかねないとの懸念も生じている。現実味は薄いものの、投資家はまさかの事態に備え、創意工夫に富んだ取引戦略を編み出している。

フランスでは、大統領選に出馬する極右政党、国民戦線のルペン党首が、勝利すればフランスをユーロから離脱させると約束した。

ギリシャでは国際社会による救済を巡り危機への懸念が再燃。イタリアでも今後数年中に反ユーロ派の政治家が主導権を握る可能性がある。

しかし、危機時の伝統的な逃避資産であるドイツ国債とスイスフランは既に上昇しており、もっと革新的なヘッジ戦略が必要だ。そうした戦略案の6つを以下にまとめた。

(1)離脱国のインフレ連動債買い

ユーロから離脱した国は通貨切り下げが見込まれるため、インフレが起こりそうだ。このため、ある大手投資銀行のトレーダーはフランスなどの国のインフレ連動債を買うよう顧客に助言している。

(2)CACとCDS

大半のフランス国債は国の法律の管轄下にあるため、通貨がユーロから切り替わっても自動的にデフォルト(債務不履行)にはならない。それでも多くの投資家は、債券契約の詳細を注視している。

ABNアムロのストラテジストによると、条件変更に大多数の債権者の同意を義務付ける「集団行動条項(CAC)」の付いた債券が人気を集めている。2013年以降に発行されたユーロ圏の国債にはすべてCACが付随している。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でも同様の動きが見られ、2014年以降に締結されたCDS契約の方が、ユーロ離脱の際に支払いを受け取れやすいと目されている。

(3)仏選挙前後のカレンダースプレッド

オプション市場ではフランス大統領選前の3、4月が期落ちのプットを売り、5、6月期落ちのプットを買う「カレンダースプレッド」取引が好まれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

神田財務官、介入有無コメントせず 過度な変動「看過

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中