最新記事

キャリア

内向型人間がいないと多くのプロジェクトは成立しない

2017年5月30日(火)21時51分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Yuri_Arcurs-iStock.

<内向型人間はチームワークが苦手? 確かに「静かな」彼らは職場で過小評価されがちだが、内向型人間がいなければ多くの仕事は回らない>

世の中には、内向型人間と外向型人間がいる。おおざっぱに言えば、人付き合いが苦手な人と、人と関わるのが好きな人だ。

コミュニケーションコーチのシルビア・レーケンは、内向型人間が仕事やプライベートで自己実現するための方法を指南している。彼女自身、内向型であり、『内向型人間のための人生戦略大全』(岡本朋子訳、CCCメディアハウス)という本の著者だ。

本書から抜粋し、5回に分けて転載するシリーズ。この第4回では「第5章 職場でのふるまい方」から一部を抜粋する。

内向型人間はひとりで仕事をしたり、考えたりするのが好きだが、人と関わらない仕事などほとんどない。「内向型はチームワークが苦手」という考えは果たして正しいのだろうか。

※第1回:1人の時間が必要な内向型、人と会って元気になる外向型
※第2回:ネガティブになりがちな内向型人間にも、10の強みがある
※第3回:内向型人間が自覚すべき、ストレスを感じる10のポイント

◇ ◇ ◇

 ホルガー(27歳)は大手製薬会社の企画部門の社員です。同僚のボリスと同じ部屋で働いています。「内向型人間」なので静かなところでないと長時間集中して仕事に取り組むことができません。

 ホルガーには1つだけ我慢できないことがあります。それはボリスに集中力がないことです。30分も集中していられません。椅子に座って15分もすると電話をしはじめたり、立ち上がったりします。その都度、理由をホルガーに説明します。ホルガーはボリスにとって唯一の話し相手だからです。ボリスは何かあると必ずホルガーに相談します。誰かに話すと問題を解決しやすいと言うのです。ホルガーはボリスが何か話してくるたびに仕事の手を止めなくてはなりません。一度仕事の手を止めると、再び集中するまでに時間がかかります。ですからホルガーはボリスの態度にたびたびイライラさせられ、腹を立てていました。ボリスはホルガーの怒りに気づいていないのでしょうか? そんなことはありません。ホルガーが勇気を出して「もう少し静かに仕事をしてほしい」と言うと、ボリスもしばらくは反省し、静かになります。でもすぐにまた元の状態に戻ってしまうのです。

同僚を自分で選ぶことはできない

 一緒に働く人間を自分で選べることはほとんどありません。同僚や顧客や上司はそれぞれ異なる特性や目標や気持ちや興味をもっています。そういった状況は、他人から邪魔をされるのが嫌いな「内向型人間」にとって耐え難いかもしれません。ですが「内向型人間」がみんなホルガーと同じように超「外向型人間」と仕事をするわけではないので、安心してください!

どんな分野でも成功する「内向型人間」

「内向型人間」は少数派ではありません! 経営管理者、校正者、研究者、ITの専門家だけが「内向型人間」ではないのです。「内向型人間」はどんな分野にもいます。「内向型人間」は「外向型人間」同様、自らの強みをビジネスに活かして成功しています。いくつかの分野では「内向型人間」のほうが成功しているくらいです。デジタル革命やソーシャルネットワーク革命は、辛抱強く1つのことに取り組む「内向型のマニア」がいなければ起こらなかったはずです(でも「内向型人間」がいなければ、ハッカーもいないかもしれませんが......)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中