最新記事

イギリス社会

ロンドン高層公営住宅火災で団結するロンドン市民 アデルなど著名人も

2017年6月19日(月)15時30分
松丸さとみ

焼け出されたと思われる人たちが路上で食事を囲む姿 emma freud-twitter

テロ攻撃に高層住宅火災と悲しい出来事が続く英国ロンドン。住民はさぞかし気落ちしているだろうと思うところだ。しかしこのような苦境のなか、高層住宅火災では住民による支援の輪が広がっている。

教会や寺院、近隣住民らが支援

ロンドン西部の高層公営住宅グレンフェル・タワーの大火災は、死亡が確認された犠牲者の数が17日時点で少なくとも30人となっており、18日には未確認ではあるが58人と発表された。今後さらに増加する見込みで、最終的には3桁になるとの声も上がっている。

火災当時はがれき落下の危険があるため地下鉄が一部路線の運行を停止するなどし、多くのロンドン市民が影響を受けた。

ロンドン全体が悲しみに包まれるなか、市民の間では、物資を持ち寄ったり、焼け出された住民を受け入れたりなど、草の根の支援活動が広がっている。

火事により実際に何人が焼け出されて住む場所を失ったのかはまだはっきりしていないが、メトロ紙は、グレンフェルには1フロアにつき約24人が住んでいたと考えられており、24フロアあったことから、600人近くが住んでいたことになると計算している。

インディペンデント紙によると、フェイスブックやツイッターなどのソーシャル・メディア(SNS)では、グレンフェルがあるロンドン西部のケンジントン周辺のみならず広い地域の人たちが、食事や服、寝床などを提供するとの申し出を投稿している。また、地元の教会やモスク、シーク教寺院なども避難所として被災者を受け入れたり、支援者からの物資の寄付を集めたりしている。

ビジネス・インサイダーは、地元の人たちが大量の物資や食事を寄付している様子を伝えている。またクラウドファンディングのサイトJustGiving.comには、被災者のために200万ポンド(約2億8000万円)を目標に資金を集めるページが開設されており、募金箱での募金も集められているという。ファンディングの額は19日現在で64%に達している。

著名人も自宅やレストランでの受け入れを表明

被災者の受け入れを申し出た支援者の中には、著名人も少なくなかった。オーディション番組のファイナリストだった歌手のギフティ・ルイーズさんは、「恐ろしいこの火事に遭った人で私の家に泊まりに来たい人がいたら、喜んでウーバー(タクシー)代を支払います。とにかく何かしたいの」とツイートした

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中