不祥事でも揺るがぬIOCの五輪ビジネス 開催地もスポンサーもアジアがけん引
天井知らず
IOCにとって最も重要な放映権は、米国ではNBCテレビが、欧州ではディスカバリー・コミュニケーションズが握っているが、長年一貫して上昇し続けていた米国の視聴者数はリオ大会で初めて下落したことが、NBCスポーツのデータで明らかになっている。
だが、米ケーブルテレビ大手コムキャスト傘下のNBCは、視聴者数の減少は、テレビからオンライン視聴へのシフトを反映したものだとしている。オンライン視聴は、広告収入源としても拡大している。NBCは、リオ大会では、ロンドン大会の倍の2億5000万ドルの収益を上げたとしている。
日本では、日本放送協会(NHK)の開会式中継の視聴率は、2004年のアテネ夏季五輪から2016年のリオ大会にかけ上昇した。関東地方では、アテネの17%から、リオでは約25%に上昇している。
2020年の東京五輪に向けた国内のスポンサー契約は、すでにロンドンやリオの3倍近い規模の計30億ドル程度に膨らんでいる。
「2020年東京大会に向けたスポンサー需要は特に前例がないほど高く、とてつもない規模になっている」と、五輪スポンサーと取引があるニールセン・スポーツ&エンターテインメントでコンサルティングのグローバル責任者を務めるマイケル・リンチ氏は言う。
中国は、アジア最大の五輪視聴者をもつ市場だが、中国の放映権を握る中国中央テレビ(CCTV)は、データ提供の求めに応じなかった。
IOCの最高位スポンサーは、アジア企業が徐々に米企業に取って代わりつつあり、現在では、中国インターネット通販最大手アリババや、日本のタイヤ大手ブリヂストン<5108.T>、トヨタ自動車<7203.T>などが名を連ねている。
IOCの最高位スポンサー13社のうち、古参の韓国サムスン電子<005930.KS>と日本のパナソニック<6752.T>を含む5社がアジア企業だ。最高位スポンサーの仕組みは、IOCが財務破綻しかけた数年後の1985年に、両社と共に導入された。
「アジアの関心はわれわれにとって非常に重要だ。韓国と中国は巨大な新興市場だし、日本はわれわれの本国だ。だからアジアシフトはブリヂストンにとってとても好ましい」と、ブリヂストンで米州のスポーツ・イベントマーケティングを担当するフィル・パクシ副社長は言う。