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米朝関係

トランプが金正恩と会ってはならない3つの理由

2018年3月26日(月)10時00分
マイケル・グリーン(米戦略国際問題研究所アジア担当上級副所長)

北朝鮮の真の狙いは昔も今も変わらない。50年の朝鮮戦争開戦を受けて創設された国連軍司令部、および米韓連合司令部の解体、韓国を覆うアメリカの核の傘の撤去だ(北朝鮮の定義によれば、それが「朝鮮半島の非核化」だ)。

北朝鮮との交渉には、こうした罠が複数ある。この国の指導層は数十年間、国連安保理決議やアメリカと同盟国の協定の微妙な点をうまく突こうとしてきた。対するトランプ政権は、北朝鮮への対応を熟知する外交官を脇へ追いやっている。

米朝首脳会談が非核化への具体的なステップにつながる可能性もなくはない。だが対北朝鮮政策通のうち、そんな期待を抱く者は私が知る限りゼロだ。

それとも米朝首脳会談も、トランプが提案したワシントンでの大々的な軍事パレードと同じく、尻すぼみの道をたどるのか。米政権内の現実派の動きによって首脳会談の開催が先送りされ、無害な準備会合が続けられる形になるかもしれない。

いずれにしても、米政権内で北朝鮮の「封じ込めと抑止」戦略に取り組む人々が、今回の政治ショーに足を取られないことを願うばかりだ。おそらく当面、その戦略以外に頼れるものはないのだから。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2018年3月27日号掲載>

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