最新記事

中国

ウイグル絶望収容所の収監者数は89万人以上

2018年3月13日(火)15時15分
水谷尚子(中国現代史研究者)

家族が強制収容された「留守児童」の問題も深刻化(写真は中国共産党のエンブレムの前で授業を受ける新疆ウイグル自治区の子どもたち、12年6月) REUTERS

<リークされた詳細なデータによれば、新疆ウイグル自治区のウイグル人密集地域で、ウイグル人口の2~4割が中国共産党の「再教育」キャンプに強制収容されている>

トルコ・イスタンブル在住の亡命ウイグル人組織によって運営されているインターネットテレビ『イステクラルTV』は2月14日、「信頼できる現地の公安筋から入手した」として、新疆ウイグル自治区の強制収容施設に収監されているウイグル人やカザフ人の数を公表した。

この表は県単位で収容者数が記されており、ウルムチ市、ホタン市、イーニン(グルジャ)市など、市単位での数値が欠けている。中国の行政単位としては県が市より下となる。おそらく、大きな行政単位の中心市レベルと末端の県レベルでは管轄部署が異なり、このデータをリークした公安警察は、県レベルのデータ管理者だったのだろう。

漏洩した拘束者数がいつの段階のものかはわからないが、収容が大々的に始まった17年に作成されたと考えて間違いない。データは1212万人いるウイグル人口の71%をカバーしているが、県レベル以外のデータが明らかになれば、収監者数はおそらくさらに増える。

89万人を超す拘束者数は新疆全域のデータではないとはいえ、この数値からは多くを読み解くことができる。色で囲ったアクス地区、カシュガル地区、ホタン地区はいずれも住民に占めるウイグル人の割合が極めて高い土地で、データ上で明らかになった収監者数の約8割は、こうしたウイグル人密集地域から連れ去られている(アクス地区合計12万6306人、カシュガル地区合計24万8747人、ホタン地区合計31万5755人、ウイグル人密集地域合計69万808人)。

uighur180313-chart01.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領の就任式、日本は出席せず=林官房長官

ビジネス

独輸出、3月は予想上回る前月比+0.9% 鉱工業受

ビジネス

UBS、クレディS買収以来初の四半期黒字 予想も大

ビジネス

為替150円超の円安は「安過ぎ」、日本経済強くして
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中