最新記事

投資

衛星写真やドローンも駆使 空売り筋のアンチテスラ派による包囲網

2018年9月3日(月)09時00分

 8月29日、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOが株式非公開化計画を断念したのを受け、テスラ株にずっとインターネット上で懐疑的な見方をしてきた人たちが、同社に圧力をかける新たな好機が訪れたと色めき立っている。写真は、ネバダ州のテスラ工場。18日撮影(2018年 ロイター/Bob Strong)

米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が株式非公開化計画を断念したのを受け、テスラ株にずっとインターネット上で懐疑的な見方をしてきた人たちが、同社に圧力をかける新たな好機が訪れたと色めき立っている。

マスク氏は8月7日、1株当たり420ドル(約4万7000円)で自社の株式を非公開化することを検討しているとツイッターで表明。非公開化することにより、空売りから解放され、世間の目から財務状況を隠すことになるはずだった。

だが同氏は24日になって突如、非公開化計画を断念すると発表。米証券取引委員会(SEC)が、非公開化を巡るマスク氏のツイートを調査するとのメディア報道は、「反テスラ派」を活気づかせた。

「実にばかげた状況だ」と、カナダ人のブロディ・ファーガソンさん(25)は言う。ファーガソンさんはマスク氏の他のベンチャー事業に関する動画を見て、テスラに関心を抱くようになった。

「非公開化の断念で、私たちの懐疑的な見方が勢いを得ている」と、テスラ株に弱気のポジションを取るファーガソンさんはツイッターを通してロイターに語った。

ファーガソンさんは、ツイッターを利用したクラウドソーシングによって、財務データや、テスラ施設の写真や衛星画像や動画を集め、同社の生産・販売台数を解明して、同社の株式が過大評価されているという考えを裏付けようとしている大勢の反テスラ派の1人にすぎない。

テスラの広報担当者は、空売り投資家についてコメントしなかった。マスク氏の支持者はしばしばツイッター上で、空売り投資家のことを「ヘイター(憎む人)」と呼んでいる。

ジム・チェイノス氏やデービッド・アインホーン氏のようなウォール街で最も有名な空売り投資家とは異なり、このようなコミュニティーに属するのは、主に個人投資家や、「@TeslaCharts」などのツイッターフィードと一緒になって趣味で調査を行う人たちだ。

「反テスラの立場を取るコミュニティーの住人は、多くが全く普通の人たちだ」と、中小企業の経営者で、「@Latrilife」というユーザー名を使うツイッター利用者は言う。彼もテスラ株に対し弱気なポジションを取っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏「6歳児と戦っている」、大統領選巡りトラ

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中