最新記事

韓国事情

観光先進国(G7)を標榜した韓国の宿泊施設がぞくぞく競売に

2019年4月25日(木)18時50分
佐々木和義

韓国を訪問する中国人のうち、済州島のみを訪れる観光客はビザが免除されている。2012年頃から中国人旅行者が急増し、中国マネーの投資が相次いだ。島は爆買いの中国人で溢れ、ホテルは高騰、国内旅行者は居場所がなくなった。

済州島はリゾート目的で訪れる人が多い。ゆったりと観光を楽しみたい国内観光客や中国人以外の外国人は日本に向かう傾向が起きていたが、クルーズ船や飛行機でやってくる中国人で笑いが止まらない済州の観光業界が顧みることはなかった。

だが、2017年に中国政府が渡韓を制限すると観光客は激減。済州島を訪れる観光客は中国人一辺倒で、日本に流れたそのほかの観光客が戻ってくることはない。

済州観光公社は、2018年に40億9800万ウォンの純損失を計上している。600億ウォンをかけて整備された西帰浦港は完成以来、1年8ヶ月に渡って開店休業となり、2億3000万ウォンの維持費が文字通り藻屑と消えた。

「東京」後はどうなるのか......

五輪が終わると五輪バブルは終焉する。中国人観光客の急増もバブル的なものだったが、これらの一時の好況で無分別な投資を行なった。韓国は一度ブームが起きると官民あげて右へならえの一辺倒になり、ブームの終焉とともに苦しい状況に追い込まれる傾向がある。

一過性のブームでホテルは供給過剰となり、そしてAirbnb(エアビーアンドビー)などの共有宿泊施設も増加した。宿題施設の競売はますます増えると業界は予測するが、長期的な視点に立った将来像が見えないなか、応札者が現れることはないだろう。熱い熱狂を迎えつつある東京も他山の石としたいところだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

為替、基調的物価に無視できない影響なら政策の判断材

ビジネス

訂正野村HD、1―3月期純利益は前年比7.7倍 全

ビジネス

村田製の今期4割の営業増益予想、電池事業で前年に5

ビジネス

米資産運用会社の銀行投資巡る監督強化案、当局が採決
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中