最新記事

イスラム国

ISの英国人処刑部隊「ビートルズ」の生き残り「もう終わりにしたい」

Member of ISIS Torture Squad 'The Beatles' Says He's Sorry

2019年6月11日(火)14時06分
カラム・ペイトン

「ビートルズ」の一人、「ジハーディ・ジョン」ことエムワジは、無人機攻撃で殺された  REUTERS/SITE Intel Group

<世界を恐怖に陥れた首切り処刑人「ジハーディ・ジョー」を含むイギリス人4人組処刑部隊の幕切れた見えてきた>

テロ組織ISIS(自称イスラム国)処刑部隊の英国人メンバーで、2018年1月に身柄を拘束された二人のうちの一人が、欧米人の誘拐に関与したことを告白し、謝罪した。この告白によってアメリカへの身柄引き渡しが早まる可能性もあるが、それは承知の上だと語った。

元ISIS戦闘員のシャフィ・シェイクは、共に身柄を拘束されたアレクサンダ・アモン・コーティと共にCNNのニック・パトン・ウォルシュのインタビューに応じた。残虐行為と英国風のアクセントから「ビートルズ」と呼ばれていた悪名高い4人組で、27人の欧米人を処刑したといも言われている。処刑部隊のうち、残っているのは3人。彼らはそのうちの2人だ。

コーティとシェイクは、ISIS がイラクとシリアの広い地域を支配していた2014年ごろに、欧米人の誘拐を手伝っていたことを認めた。だが、ISISの代名詞となった残虐行為や殺人については、関与していないと否定した。

「私は戦闘員だった」とコーティは主張した。「人質たちから連絡用のメールアドレスを聞き出すのが役目だった。たとえば人質の生死について聞かれたときのために、本人でなければ知りえない情報を聞き出した」と彼は語った。

元人質は「ビートルズから拷問を受けた」

シェイクは、欧米人の誘拐についても、「欧米人捕虜と彼らの解放交渉に携わっている人々との連絡役をしただけ」だったと主張した。米国務省は、2人が人質の拷問も行っていたとしている。

ISISに身柄を拘束されたことのある複数の人物が、「ビートルズ」が拷問や殺害を行っていたと証言している。

ビートルズのうち「ジハーディ・ジョン」と呼ばれて恐れられたイギリス人は、米国人ジャーナリストのジェームス・フォーリーとスティーブン・ソトロフを「処刑」している。本名はモハメド・エムワジで、2015年にドローン攻撃で殺された。

<参考記事>「イスラム国」機関誌、ジハーディ・ジョン死亡を発表



拘留先で、手錠を外されジャーナリストと話すコーティー(左)とシェイク


ISISに拉致された経験があるスペイン人カメラマン、リカルド・ガルシア・ビラノバは、こう証言する。「私はISISに拉致されていた間、覆面をかぶり英国風のアクセントで話す複数の男から拷問を受けた。一緒に拉致されていた多くの人質たちも彼らから拷問を受け、中には命を落とした者もいる。彼らが、自分たちのしたことについて裁かれることを望む」

1990年代に家族でスーダンからイギリスに逃れたというシェイクは、自分がしたことについて申し訳なかったと語った。「ISISのなかで自分が果たした役割は過ちのひとつで、謝罪したい。直接・間接に影響を受けた、すべての人に謝罪したい」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 6

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中