最新記事

手術

インドで、7歳男児の口内から526本の歯が摘出される

2019年8月2日(金)18時15分
松岡由希子

SAVEETHA DENTAL COLLEGE-YouTube

<インドの病院で、7歳男児の口内から526本の歯が見つかりすべて摘出する手術が行われた......>

インドの病院で、7歳男児の口内から526本の歯が見つかり、5時間にわたってこれらをすべて摘出するという、極めてまれな手術が行われた。

3歳頃から右下あごの腫れに気づいていたが、7歳になって手術

インドの英字新聞「インディアン・エクスプレス」の報道によると、この摘出手術を受けたのは、インド南部タミル・ナードゥ州ティルヴァッルール県に在住するラビンドラン君だ。

両親は3歳頃から右下あごの腫れに気づき、他の医療機関に連れて行ったこともあったが、ラビンドラン君が落ち着いて検査を受けられるようになるまで様子を見ていたところ、腫れが大きくなってきたため、インド南部チェンナイのセイブエサ歯科大学病院で受診した。

口内では、腫瘍のようなものが大きくなって永久臼歯の成長を妨げており、X線やCTスキャンで撮影すると、袋状の組織の中に複数の痕跡歯が写っていたことから、歯原生腫瘍のひとつ「複合性集合型歯牙腫」と診断された。これらの歯は口の外から見えないが、切除する必要がある。

matuoka0802c.jpg

SAVEETHA DENTAL COLLEGE

200グラムの腫瘍をひらいて、歯526本をすべて摘出

2019年7月11日、歯の摘出手術が行われた。執刀医が重さ200グラムの腫瘍をひらき、0.1ミリ程度の極小サイズから1.5ミリの大きなものまで、様々な大きさの歯526本をすべて摘出。いずれの歯も歯冠と歯根があり、エナメル質で覆われていたという。

unknown.jpg

SAVEETHA DENTAL COLLEGE

幸い、腫瘍は初期段階で見つかったため、口内の組織にはほとんど影響がなく、従来の手術で切除でき、顎再建も必要なかった。また、担当医によれば、ラビンドラン君の正常な歯は保持されており、他の歯の成長に問題はないが、永久臼歯の成長には影響が残り、16歳になる頃、永久臼歯2本のインプラントが必要になる可能性もあるという。

このような珍しい症例の原因は、まだ明らかになっていない。セイブエサ歯科大学のプラティバ・ラマニ教授は、「要因のひとつとして、遺伝もありうるだろうし、環境も重要な役割を担っている。我々は、携帯電話の基地局からの放射線がこの要因となりうるかどうかを検証する研究に着手している」と述べている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-スイスUBS、資産運用業務見直

ワールド

ロシア産肥料を米企業が積極購入、戦費調達に貢献と米

ビジネス

ECB、利下げごとにデータ蓄積必要 不確実性踏まえ

ビジネス

ソニー、米パラマウントに260億ドルで買収提案 ア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中