最新記事

韓国

韓国3大未解決事件「華城連続殺人」犯人が自白 映画は解決にどこまで迫った?

2019年10月2日(水)19時55分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)


イ・ヒョンホくん誘拐殺人事件とカエル少年事件について伝える韓国メディア KBS NEWS / YouTube

誘拐直後に殺害し身代金要求─「イ・ヒョンホくん誘拐殺人事件」

1991年1月29日、ソウル市の高級住宅エリア江南区に住むイ・ヒョンオ君(9歳)が夜の公園でブランコに乗っている姿を最後に行方不明になる。その夜自宅に男の声で電話があり、その後44日間、60回あまりにわたって身代金要求の電話が続いた。この間、警察は身代金の引き渡し現場で犯人を捕まえようと試みたがその度に失敗し、1カ月後に漢江公園近くの排水路でイ・ヒョンオ君の遺体が発見された。解剖の結果、死亡したのは誘拐直後と推定され、殺害後に身代金要求をしていたことに韓国国民は大きな憤りを感じた。

その後、事件の重要容疑者として、イ・ヒョンオ君の母方の叔父が捜査線上の上がる。身代金要求の電話の声を声紋分析した結果、叔父と完全に一致したからだ。しかし、この男にはアリバイがあり、警察はどうしてもそのアリバイを崩せず、声紋以外の証拠もなかったため、容疑者として特定することができないまま事件は迷宮入りとなってしまった。

軍部の関与? 「カエル少年事件」

1991年3月26日朝、大邱広域市に住んでいた5人の小学生が近くにある臥龍(ワリョン)山にサンショウウオの卵を取りに行ったまま行方不明になった。ただ、事件当初、サンショウウオをカエルと間違って報道されたため、この事件は「カエル少年事件」と呼ばれるようになった。「イ・ヒョンホくん誘拐事件」の直後だったこともあり、当時の盧泰愚大統領の特別指示で警察と軍が動員されて、臥龍山はもとより全国で捜査が行われたが、まったく手がかりがつかねぬまま捜査は打ち切られた。

ところが、事件のことなど誰も思い出さなくなった2002年、臥龍山にどんぐりを拾いに登った人が、山の中腹で5人の遺骨を発見した。法医学解剖により、子供たちは鈍器で殴られたり刺されたりした、と推定された。少年たちが行方不明になった当時この一帯は陸軍50師団の射撃場があり、よく子供たちが薬莢を拾ったりしていたという。このため、少年たちは軍により何らかの理由で殺害、遺棄されたのではないかとの説もあるが、何ら有力な手がかりもないまま未解決のままになっている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米マスターカード、1─3月1株利益が市場予想超え 

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、米ハイテク株安や円高が重

ビジネス

テスラの「ギガキャスト」計画後退、事業環境の逆風反

ワールド

ロシア、ウクライナで化学兵器使用 禁止条約に違反=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中