最新記事

異常気象

季節外れの熱波のあとは記録的な寒さ、北極からの寒波がアメリカを襲っている

2019年11月13日(水)16時45分
松岡由希子

平均気温よりも17°C下がった...... WeatherNation-Twitter

<季節外れの熱波に見舞われたばかりの米国東部では、11月中旬、北極からの強力な寒波により厳しい寒さとなっている......>

2019年10月初旬に季節外れの熱波に見舞われたばかりの米国東部では、11月中旬、北極からの強力な寒波により厳しい寒さとなっている。11月11日、中西部のグレートプレーンズで気温が1月並みまで急激に下がり、これが翌12日以降、東に移動しているという。

1時間に9°C下がり、平均気温よりも17°C下がった

アメリカ国立気象局(NWS)は、14日朝にかけて385地点で記録的な寒さになると予報。多くの地域で平均気温よりも華氏15度(摂氏約8.4度)から華氏30度(摂氏約16.8度)下がり、12時間以内に気温が華氏30度下がる地域もある。

この寒波はまずロッキー山脈北部に到来した。モンタナ州ハバーで、10日、華氏マイナス18度(摂氏約マイナス27度)の史上最低気温を記録し、11日には、モンタナ州北部で気温が華氏マイナス30度(摂氏約マイナス34度)まで低下。同日、テキサス州ダラスでは、午前10時から11時までのわずか1時間で気温が華氏65度(摂氏18.3度)から華氏46度(摂氏7.7度)まで下がり、風速は時速44マイル(約70.8キロ)に達した。その後、寒波は南東部に広がり、テキサス州ガルベストンからメキシコ湾岸部に沿ってフロリダ・パンハンドルまで、米国本土の東半分をほぼ覆っている。


航空機も滑走路でスリップ

北極からの寒波が東に向かって張り出すことにより、中西部からアパラチア山脈までの広い範囲で積雪も予想されている。中西部から北東部までの地域では概ね1インチ(約2.5センチ)から4インチ(約10センチ)の積雪が予想されているが、北極からの冷たい風が五大湖に吹き付けることで、五大湖周辺の地域では、積雪が1フィート(約30センチ)から2フィート(約60センチ)にのぼるおそれもあるという。

シカゴ・オヘア国際空港では、11日午前9時の天候が雪、気温華氏22度(摂氏マイナス5.5度)、風速時速30マイル(約48.3キロ)という悪天候により、アメリカン航空の航空機が滑走路でスリップするインシデントが起こった。

各地で交通事故も発生している。

この寒波は14日以降、弱まってくるものの、気温は依然として平均を下回り、28日のサンクスギビング・デー(感謝祭)に向けて、次第に穏やかになるとみられている。

気象庁の1カ月予報では、日本も11月16~22日ごろに寒気が入り、気温が平年より低くなる見通しだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマス、カイロに代表団派遣 ガザ停戦巡り4日にCI

ワールド

フランスでもガザ反戦デモ拡大、警察が校舎占拠の学生

ビジネス

NY外為市場=ドル/円3週間ぶり安値、米雇用統計受

ビジネス

米国株式市場=急上昇、利下げ観測の強まりで アップ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中