ロシア「違法民兵」に医療支援 軍事作戦への非公式動員実態
プーチン氏との関係
公式データベースに登録された企業情報によれば、この診療所の最高責任者であるブラディスラフ・バラノフ氏はAOノメコ(Nomeko)という医療関連企業でも最高責任者の座にあるが、プーチン氏の長女はこの企業の共同創業者であり、取締役でもある。ソガズのCEO代理はミハイル・プーチン氏であり、地元メディアによれば、プーチン氏の従兄弟の息子だという。ロシア政府は、ミハイル・プーチン氏が大統領の遠い親戚であることを認めている。
さらにプーチン氏の別の従兄弟の息子であるミハイル・シェロモフ氏とともに、プーチン氏が友人であることを公言しているユーリ・コバルチュク氏とその妻も、間接的にソガズの株式を保有している。
ソガズのウェブサイト及び企業データによれば、ソガズの取締役会長職は、プーチン氏が大統領になる前の1990年代にサンクトペテルブルク市長のもとで同僚だったガスプロムのアレクセイ・ミラーCEOが務めている。
ロイターは国外での戦闘で負傷した民間軍事会社社員の治療を行っている診療所について、ミハイル・プーチン、シェロモフ、コバルチュク夫妻、ミラーの各氏にコメントを求めたが、回答は得られなかった。ミラー氏、ミハイル・プーチン氏宛ての質問に対して、ガスプロムは回答を拒否している。
「診療所のことは忘れなさい」
診療所の最高責任者であるブラディスラフ・バラノフ氏に電話で取材を試みた。同氏はプーチン氏の長女マリア氏とビジネス上の関係がある。
バラノフ氏はロイターに対し、「私の診療所のことは忘れなさい。それがあなた方へのアドバイスだ」と述べた。文書での質問に対しては「私はあなた方とのやり取りを望んでいない」と答えている。
ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は「この件に関しては何の情報も得ていない」と語った。ロシア国防省、ソガズ、プーチン氏長女にもコメントを求めたが、回答はなかった。
(翻訳:エァクレーレンン)
[サンクトペテルブルク ロイター]
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