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新型肺炎:どこまで広がるのか

新型コロナウイルス、ワクチン実用化は近づいているのか

Searching For a Vaccine

2020年2月14日(金)16時15分
シャノン・パラス(科学ジャーナリスト)

今年に入って新型肺炎拡大のニュースが流れ始めると、ホテズは中国の共同研究者に連絡し、「SARSに似ているか」と尋ねた。すると、遺伝子上は82%一致するという答えが返ってきた。

資金を工面できれば、中国の研究機関と組んでワクチンの臨床試験ができる可能性が出てきた。効果と安全性が確認されれば、今回のウイルスの感染予防に使えるかもしれない。

実現できるかどうかは、まだ分からない。アイオワ大学でコロナウイルスを研究するスタンリー・パールマン教授は、あまり楽観視していない。「最も有望とは言い難い」と、彼は言う。2つのウイルスの突起は似ているかもしれないが、それだけで両方に効果のあるワクチンができるかどうかは分からないというのだ。

ホテズも失敗の可能性が高いことは認めている。だが17年の研究では、SARSに有効な抗体が類似のコロナウイルスにも有効だった(今回の新型コロナウイルスにはまだ試験を行っていない)。

一つ確かなのは、ホテズが言うように「新型のコロナウイルスは次々と出現する」ということだ。

©2020 The Slate Group

<2020年2月18日号「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集より>

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2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。

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