最新記事

世界で人口23億人が「都市封鎖」状態に 新型コロナ感染拡大を止められるか

2020年3月27日(金)19時00分
松岡由希子

ロックダウンが宣言されたインド・ムンバイで家庭用のガスを買うために並ぶ人々 REUTERS/Francis Mascarenhas

<国や地域を封鎖し、国民や市民、企業の活動を強制的に制限する「都市封鎖(ロックダウン)」の措置を講じる国・地域が相次いでいる......>

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年12月31日に「中国・武漢で原因不明のウイルス性肺炎が確認された」と世界保健機関(WHO)へ報告されて以来、わずか3ヶ月足らずで世界198の国と地域に感染が拡大し、世界全体で46万2684名の感染が確認され、2万834名が死亡している(2020年3月26日時点)。

インド、欧州、アルゼンチン、中東、マレーシア、ニュージーランド......

世界各国では、感染拡大を抑制または遅延させるための公衆衛生戦略として「社会的距離戦略(ソーシャル・ディスタンシング)」がとられている。人々の行動を制限し、人と人との間の物理的な距離を保ち、接触機会を減らすことで、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスである新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が他の人に飛散する機会を低減させるというものだ。

国や地域を封鎖し、国民や市民、企業の活動を強制的に制限する「都市封鎖(ロックダウン)」の措置を講じる国・地域も相次いでいる。

人口13億5300万人を擁するインドは、3月24日、全土を対象に21日間の都市封鎖を宣言した。ナレンドラ・モディ首相は「社会的距離戦略が、新型コロナウイルスと戦う唯一の選択肢だ」と述べ、一切の外出を止め、自宅にとどまるよう国民に訴えた。

"Social Distancing Only Option To Combat Coronavirus," Says PM Modi

インドと同様、死亡者数が最も多いイタリア、死亡者数がこれに次ぐスペインのほか、フランス、英国、ベルギー、デンマークなどの欧州諸国、南米のアルゼンチンやコロンビア、中東のイスラエル、クウェート、アフリカのモロッコ、南アフリカ共和国、マレーシア、ニュージーランドなども、全土で都市封鎖されている。

米国人口の約3分の1がロックダウン

また、感染者数が世界で最も多い米国でも、カリフォルニア州で3月19日に外出禁止命令が発出されて以降、ニューヨーク州、イリノイ州、ワシントン州、ハワイ州などでも同様の措置がとられ、米国人口の約3分の1が都市封鎖の状態に置かれている。

世界全体でみると、その規模は、第二次世界大戦前の1940年時点の世界人口23億人を超えている

日本でも、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、3月19日付の「新型コロナウイルス感染症対策の現状分析・提言」において、「患者集団(クラスター)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じる可能性があり、患者が爆発的に急増する『オーバーシュート』が起こりかねない」と指摘。「その場合における政策的な選択肢は、都市封鎖に類する措置以外にほとんどない」との厳しい見通しを示している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、イスラエルへの兵器出荷一部差し止め 政治圧力か

ワールド

反ユダヤ主義の高まりを警告、バイデン氏 ホロコース

ビジネス

FRB、年内は金利据え置きの可能性=ミネアポリス連

ビジネス

経済の構造変化もインフレ圧力に、看過すべきでない=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 6

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 7

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 8

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 9

    ハマス、ガザ休戦案受け入れ イスラエルはラファ攻…

  • 10

    プーチン大統領就任式、EU加盟国の大半が欠席へ …

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中