最新記事

パンデミック

コロナ震源地交代 死者が減り出したイタリアと、「最も辛い1週間」を迎えるアメリカ

COVID-19 Cases Hit 1.28 Million, Italy Daily Death Rate Falls Significantly

2020年4月7日(火)18時25分
スー・キム

この計画は、市民に対して職場でのマスク着用を義務づけ、公の場では常にほかの人との間に約1.8メートルの距離を空けるよう求めている。またCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の症状が少しでも出た人はすぐに保健当局に連絡しなければならず、その後2週間にわたって隔離されることになる。イタリアでは、COVID-19の対応専用の病院を各地に建設することが計画されているとも報じられている。

またAFP通信によれば、イタリアのジュセッペ・コンテ首相は、国内で新型コロナウイルスに感染した人のうちどれだけの人に抗体ができたのかを確認するために、数万台の血液検査キットを確保したい考えだ。検査で抗体があると確認されれば、同ウイルスに対する免疫がある可能性があり、職場に戻ることが許されるという。

■アメリカ

アメリカでは、6日の時点で感染者の数が33万7600人を超え、死者の数も9600人以上に達した。依然、最も感染者数が多いのはニューヨーク州で、アンドリュー・クオモ知事によれば5日時点で12万2031人の感染が確認されている。今後さらに死者が増えると予想されており、今後2週間は、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)の確保をはじめとする予防措置を続けることが、感染拡大の防止において、きわめて重要になるだろう。

公衆衛生局長がさらなる協力を呼びかけ

米公衆衛生局のジェローム・アダムス長官は6日、Foxニュースの番組に出演し、「多くのアメリカ人にとって、これから1週間が人生で最もつらく悲しい時期になるだろう。真珠湾攻撃や9・11同時多発テロの時と同じようなことが、今度は国内全域で起こるのだ」と警告。「今後30日間にわたって全ての人が感染拡大の防止に協力すれば初めて、トンネルの先に光が見えてくるはずだ」と語った。

ニューヨーク州では連日、新たに大勢の感染者が報告されているが、クオモは5日、1日あたりの死者数が初めて減少したと発表。とはいえ、その数字の意味について判断を下すのは「まだ早い」とも会見で語った。

■韓国

韓国は引き続き、感染者数の上昇カーブをフラットにすることに成功している。韓国疾病予防対策センター(KCDC)によれば、4月6日の新たな感染者は47人。50人を下回るのは、新規感染者が最高の909人に達した2月29日以来初めてだ。感染者の減少は、日々の検査希望者が減ったせいもある。先週末の検査数はかつての1万から6000に減った。

韓国は一時、中国に次いで世界2位の感染者がいたが、ここ一カ月は一日100人未満まで減った。一時は500人かそれ以上の感染爆発を起こしていた頃と比べれば、大きな成果だ。

だが韓国の公衆衛生当局は、感染拡大の第二波がすぐにも襲いかねないと警戒している。あちこちの小さな教会や病院、老人ホームなどでの集団感染がいまだ収まっていないからだ。

韓国がウイルスの封じ込めに成功したのは、徹底した大量検査と厳しい地域封鎖のおかげだ。だが、自宅隔離下にも拘わらず移動する住民の数はこの週末に20%も増加した。

そのため5日から、韓国政府は自宅隔離を破った者にはより厳しい罰金を科すことにした。違反者は最高8100ドルの罰金か、禁錮刑に処せられる。

■日本

日本の安倍晋三首相は今日、日本の大都市圏を中心に緊急事態を宣言する予定だ。日本の感染者数は過去一週間で倍増し、その総数は3654人、死者は85人に達した。とりわけ東京の感染者総数は1000人を超えた。医療従事者もベッドも不足で、ロイターによると、その医療システムは崩壊寸前だという。

緊急事態宣言の対象は、首都圏の1都3県と大阪、兵庫、福岡とみられる。

欧米や中国、韓国の強制力を伴ったロックダウンと違い、対象地域の住民は自宅にいるよう要請を受けるだけ。食料品の買い物や通院など必要不可欠な外出は許される。ただし大勢を収容する施設、たとえば学校や劇場、コンサートホール、スタジアム等は閉鎖の要請を受け、従わなければ指示を受ける。


20200414issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月14日号(4月7日発売)は「ルポ五輪延期」特集。IOC、日本政府、東京都の「権謀術数と打算」を追う。PLUS 陸上サニブラウンの本音/デーブ・スペクター五輪斬り/「五輪特需景気」消滅?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア裁判所、JPモルガンとコメルツ銀の資産差し押

ワールド

プーチン大統領、通算5期目始動 西側との核協議に前

ビジネス

UBS、クレディS買収以来初の四半期黒字 自社株買

ビジネス

中国外貨準備、4月は予想以上に減少 金保有は増加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中